FAの世界

4章:百花繚乱 - 4 -

 次元をくぐり抜けると、そこはもう水晶国で、眼前には陽に煌めく湖が拡がっていた。
 遠くにかすんで見える大水晶環壁かんぺき稜線りょうせんは、青空に溶けてなじみ、焔も煙もあがっていない。物騒な物音も聞こえず、自然の静寂に満たされている。青とした森は風に揺れて、いつも通りの平穏がそこにあった。
 少なくとも、視界に映る範囲に恐れていた焦土の景は見当たらない――故郷に帰ったような気持ちで、虹は密かに胸を撫でおろした。
 湖の岸辺でアーシェルは虹をおろすと、素早く虹の全身に目を走らせた。
「お怪我はありませんか?」
「僕は平気です、それよりアーシェルさんは?」
「私のことなど……」
 真剣な眼差しで虹の容態を確認していたアーシェルは、負傷していないことを確認すると、わずかに緊張をゆるめた。しかし、次に発する声音は酷薄な響きを帯びた。
「なぜ我らをお見捨てになられたのですか」
 鮮やかな碧眼が猛禽のように光る。虹は、頸の髪の根っこにかけて血が奔騰してくるのを感じた。
 申し訳ありませんでした。助けにきてくれてありがとう――謝罪と感謝を述べるべきだと思うが、碧い瞳のなかに怒れる焔を見ると、みるみる勇気がしぼんでいく。
「このようなものを……」
 アーシェルは憎々しに呟いた。虹ではなく、腰に巻いた緋色のショールを凝視している。彼にしては乱暴な手つきでそれをはぎ取ると、露わになった下半身を見て、眉をしかめた。
 虹は視線をあわせることができない。気まずくて両手で股間を隠していると、アーシェルも白装束を脱ぎ捨て、おののく虹に手を伸ばして素早く抱きあげた。
「アーシェル……?」
 無言のままに、アーシェルは虹を抱いて湖のなかへ入っていく。腰が水に浸るまで進むと立ち止まり、ゆっくりと虹をおろした。
「虹様」
 碧くけぶる瞳がじっと見つめ返してくる。澄み透った瞳に、怒りと慈愛と劣情とが混淆こんこうして、濃い瑠璃ヴァイドゥーリャのようにかげって見えた。
「躰をお赦しになられたのですか?」
 落ち着いた声音だが、危険な怒りの響きが秘されていた。
「赦していません」
 苦渋に歪んだ顔で虹は答えた。握りしめた拳の関節に血の気が失せていた。
「これほど黄金に塗れていらっしゃるのに?」
 冷ややかな笑みさえ浮かべて、碧い双眸は、熱を孕むかのような火焔の色を煌めかせた。
 虹は絶句し、長い一瞬が過ぎる。
 嫉妬に煮えたぎる、熱い、怒りの眼差し。雄の剥きだしの欲情を見せながら、アーシェルは丁寧に粛々と虹を清め始めた。どこからとりだしのか、檸檬の香りのする石鹸を濡れた肌にすべらせ、柔らかな麻布で擦る。おいそれと声をかけられない空気を纏っているが、看護者めいた手つきは優しかった。
「……僕が、望んでそうしたわけではないんです」
 沈黙に耐えかねて、虹は呟いた。
「自業自得でしょう」
 いつになく厳しい口調に、虹の躰にふるえがはしる。アーシェルのいう通りだった。後ろを犯されなかったとはいえ、彼らの仇敵きゅうてきに虹は躰を弄ばれたのだ。
「これほど黄金に濡れて……忌まわしき錬金術師の精気を、さぞやたっぷりと浴びたのでしょうね」
 微笑が深まり、かたちのよいくちびるが三日月に似たかたちをつくった。
「違う、無理やり……んっ」
 反論は吐息ごと奪われた。後頭部を掌に固定され、ぴったりとくちびるを押しつけられ、かと思えばむように吸いあげられ、息を喘がせると、舌がもぐりこんできて思うがまま蹂躙し始めた。
「っ、んん……待って、こんなことをしている場合じゃ――」
 顔を背けて、胸を押し返そうとした腕を掴まれ、ぐっと引き寄せられた。怒りともつかぬ嫉妬めいた視線が、紅く色づいた乳首に注がれた。
「見ないで……」
 か細い声で虹が訴えると、アーシェルは眉間に皺をよせた。彼の身の裡に、情欲の焔が怒濤のように湧きあがり、虹を両腕でかき抱いた。細い躰を弓なりにさせると、ひらいた胸に顔を伏せる。茱萸ぐみのように真っ赤に熟れた突起を、くちびるで挟みこんだ。
「ぁっ」
 敏感なそこを、ちゅうっと吸いあげられ、虹はぶるっと身震いする。
「は……虹さ、ま……っ」
 羞恥に歪む虹の顔を見つめながら、アーシェルは、尖った肉粒にいやらしく舌をからめた。
「ぁっ、や、吸っちゃだめ……っ」
 誰がやってくるとも知れぬ湖で、それも緊迫した状況だというのに、舌でねぶられるとじんと甘くしびれて、蜜が滲むのが判った。
「はぁ、虹様、虹様……んっ」
 恋い焦がれるような響きで囁きながら、アーシェルはかわるがわる左右の果肉を舐め、甘噛みし、舌をからめて吸いあげる。
 戸惑いながらも虹は、蕩けた瞳でアーシェルを見つめた。ひたむきな視線が返される。瞳のなかで、碧い焔が煌めているみたいだ。
「はぁッ、ん!」
 乳首に歯をたてられた瞬間、甘ったるい乳が迸るのを感じて、虹はぎゅっと目をつむった。喉を鳴らしてアーシェルが飲みほしていく。
 彼が満足いくまで、たっぷり吸われたあと、虹はくたりとたくましい胸に倒れこんだ。
「虹様……」
 ふたたび抱きあげられ、湖をでて柔らかな芝生におろされると、いきなり足を割り広げられ、股間にむしゃぶりつかれた。思考停止していた虹は、我に返って慌てふためいた。
「やめてくれ……っ」
 アーシェルはきっとなり、歯がゆげに虹をにらみつけた。
「私を拒むのですか? ……こんなにも甘い匂いをさせて……こんなにもお慕いしておりますのに!」
「っ、すみません……っ」
「いまさら赦しを請うのですか? 敵の侵略を赦しておいて、いまさら……」
 凄まじい破壊の光景が、氷のような鮮烈さで脳裏に閃いた。取り返し難い悔悟かいごに、虹の顔が歪む。
「ごめんなさい、申し訳ありません……っ」
 氷の指が背筋を這いまわっているかのように震える虹を、アーシェルは憐憫れんびんの滲んだ眸で見つめた。
「虹様は、弱すぎるのです」
「ぅ、本当に、すみません……っ」
 もはや抗う気力もなく、無力に歔欷きょきする虹を、アーシェルはそれでも赦す気になれなかった。
「ここも吸わせたのですか」
 性器を柔らかく握られて、虹は身を震わせた。
「……いいえ」
「嘘は通用しませんよ」
 濡れた舌が、ねっとりと性器を舐めあげた。甘い痺れに、ビクンッと躰が波打つ。
「ぁッ」
「……ほら、厭わしい気配がします。虹様は本当に……私を拒んでおきながら……」
 陰嚢を優しく揉みしだきながら、くちびるで亀頭を愛撫し、舌で竿を舐めおろし……また舐めあげて、焦らすように何度か繰り返したあと、じゅぷぷっ……かたちの良いくちびるが、虹の性器を飲みこんでいく。
「ひゃぁ! んっ、や……っ」
 口淫をやめさせようと髪に手をもぐらせるが、手が震えてうまくいかない。艶めかしい愉悦に抗おうと、懸命に歯を食いしばるが、腰が勝手に揺れてしまう。
「はぁ、んぅ……っ」
 熱い粘膜に包まれて、躰の芯から脳髄まで、どろどろに蕩かされていく――
(こんなところで、ダメ)
 理性を総動員して逃走を試みるが、圧倒的な膂力りょりょく差に太刀打ちできない。
「ぁ、アーシェル!」
 欲情した碧い眼が見つめ返してくる。射精を促すように、くちびるで激しく竿を上に下に扱いて、喉の奥で繊細に締めつけてくる。
 ――気持ちよすぎる。
 躰が熱い。高熱を発したときのように火照っている。脳天を揺さぶられる悦楽。熱の奔流がせりあがって、はじけた。
「ひッ、あぁっ!」
 吐精する間も、熱い舌が絡みついてきて、もっと、もっと……とせがむ。
「ぅ……飲まないで……っ」
 虹は涙目になり、身悶えた。足の爪先をきゅっと丸め、弱弱しく宙を蹴る。アーシェルはしっかりと虹を固定し、餓えたように性器をしゃぶっている。
「ん……虹様……っ」
 ぐっと太腿を持ちあげられ、ひくつく蕾にも指が触れた。
「まさか、ここも……?」
 確かめるように指先が孔の縁を撫でさする。虹は必死に首を振った。
「されてません! そこは、そこだけは、本当……ぁっ」
 白い指先が、つぷりともぐりこんだ。
「本当に? ほころんで……蜜に濡れていらっしゃるのに……触れさせていないと?」
「本当です、挿れられていませんっ」
 虹は涙に濡れた目で必死に訴える。けれどもアーシェルはぎらぎらと燃える眼差しになり、尻を高くもちあげて、顔を埋めた。
「なっ……」
 屈辱的な恰好に、虹の顔は燃えるように熱くなった。アーシェルは高い鼻を後孔に突きさす勢いで、匂いを嗅ぎまくる。
「ひぃん、やだぁ……っ」
「あぁ、なんて濃厚な香り……男の正気を失わせる悦びの匂いですね……」
 囁きながら、アーシェルは透き通るような薔薇色の舌を伸ばした。ひくつく孔を音を立ててねぶる。熱い舌が縦横無尽に肉筒をまさぐった。
「はぁ、んぅ……っ」
「ン……熱い、この燃え盛る炉で、忌々しい黄金を溶かされたのではありませんか?」
「違います! やめて……やめてえぇ……」
 腰を振っても、太腿をがっちり掴まれて逃げられない。躰の一番柔らかいところを、舐められ、しゃぶられ、突かれまくる。燃えるような思いのこめられた、舌の愛撫だった。
「あぅ、あ、あぅんッ!!」
 巧みな舌技に攻めたてられ、喘ぎ声を止められない。
 後孔は真っ赤な炉で、アーシェルの舌は焔の刃さながらだ。全身の血潮が熱くたぎり、沸騰しかねない欲望のおののきに虹は震える。
「ぁ、虹様ッ、ン、熱い坩堝で、黄金を、は……溶かされたのでしょう?」
「違うっ! ……やあぁッ」
 じゅん……っと奥処おくかしたたるのが判った。地獄の釜茹でを通りこして、甘美な熱湯浴に浸っている気分だ。身も心もどろどろに蕩けていく。
「では教えてくださいませ。何をさせられたのです……何を求められたのです! こんなにも躰を熱くさせられて……っ」
「舐められただけ、僕を蟲毒こどくと恐れて、あのひとは……それ以上のことは何も」
ごとを。黄金の精をまとっておられながら……」
 アーシェルは、嘲笑ちょうしょうとも憫笑びんしょうともつかぬ薄笑いを浮かべた。
「挿れられてない! 本当です!」
「こちらは?」
「んぁっ」
 そそりつ乳首をきゅうっと摘まれた。不意打ちの快感に、虹は身もだえる。
「吸わせましたよね」
 断罪めいた言葉が、耳朶を打った。
「ごめんなさぃ……っ」
「ここもしゃぶられて」
 今度は反応している性器を撫でられ、あ、と虹は喘ぐ。
「御身を黄金の精で穢されたのでしょう?」
 くちごもる虹に、咎めるように鋭い視線が注がれた。
「答えてください」
「そう、です、性器をこすりつけられて……っ……僕の意思ではありません! 拒んでも、離してくれなかったんだ。四本の腕に押さえつけられて」
「一度ではありませんよね? いったいどれほど擦られたのです」
「知りません! けど、彼は僕を……“千の仔を孕みし水晶子宮ファルル・アルカーン”とさげすんだ! 僕をそんな存在にしたのは、貴方でしょう! ひ……何をッ」
 アーシェルは唸り声をあげると、威嚇するように虹に覆いかぶさった。
 かたい猛りを尻に押しつけられて、虹は慄く。慈悲憐憫を視線でこいねがうが、情念を燃えたたせた碧い眸に射抜かれた。
 貪りたい――喰らい尽くしたい――欲望をありありと伝えてくる。ぞくっとするほど煽情的で、首筋の短い毛が逆立つのを感じた。
「仰る通り――虹様は我らの“千の仔を孕みし水晶子宮ファルル・アルカーン”です。自覚があるのなら、なぜ逃げたのです!」
「ぁンッ!!」
 尻を大胆に揉みしだかれ、虹は総身を震わせた。
にわかには信じ難い。このように香気芬芬ふんぷんたる溶岩孔に触れながら、挿入しなかったなど……!」
 呻くような声で発し、アーシェルは虹の顔を見つめたまま、腰を押しだした。
「あぅっ、あぁ……いれちゃ、だめ……っ」
「虹様……!」
 アーシェルは力強く腰を突きだした。情熱をみなぎらせた肉棒が、熱く蕩ける媚肉に沈みこむ。
「あふぅッ!!」
 息苦しさに虹は息を喘がせる。
 最奥まで楔を埋めこむと、アーシェルは動きをとめた。荒い息を整えてから、ゆっくりと律動を始めた。
「あ、ぁっ……アーシェ、だめ、ぇっ」
 タン、タン、タンッ……淫らなリズムは次第に速く、力強くなっていく。
 このような見知らぬ場所で、無防備にまじわるのは恐ろしかった。誰かやってくるかもしれない。敵に見つかるかもしれない。だがアーシェルはお構いなしの荒々しい腰遣いで、遠慮容赦なく虹を揺さぶった。
「あ、あぁ、あっ! あぅッ!!」
 灼熱に貫かれる衝撃と一緒に、陰茎も前後に揺れる。腰のぶつかる音は、罰するような響きを帯びていて、揺れる性器の先端から飛び散る蜜は、赦しを請う涙のようだった。
「は……私が、あとすこし遅ければ、こうされていたのですよ」
「ひ、あッ! ごめん、なさ、赦して、ぁっ」
「赦されるとお思いか」
「ぁあっ、ん、アーシェル」
「敵が肉欲を抑えこんだのは、いっときのこと……は、ぁ、いずれは肥沃の土壌を突きあげ、はぁッ、種をまくつもりでいたの、ですよ! 黄金の精を、孕むおつもりでしたかッ」
 ぱっちゅぅん! 濡れた音が弾けて、虹は頭を左右に振った。
「違いますっ、あぁ、違うんです」
「何が違うというのです」
 視線は鋭さを増し、より威嚇的になっている。ぬち、ぬちゅっ、ぱっちゅん! 淫靡な水音を撥ねさせながら、欲望の坩堝に腰が突進する。猛々しい絶倫に、宇宙開闢かいびゃくに燃える超新星よりも熱く躰を燃やされ、虹は甘い悲鳴をあげることしかできない。
 絶頂が弁を開き、みなぎ横溢おういつが苦悩に満ちた歓びの痙攣をおこした。どぉっと熱い精液をほとばしらせ、虹を恍惚に導いた。
「ふあぁンッ!」
 ――これがほしかった。ずっとずっと待っていた――狂乱するような歓喜に総身を震わせた。煽られ火を灯された続けた欲求が、とうとう炸裂したのだ。
 ながい吐精のあと、アーシェルはゆっくり楔を引き抜いた。
「ぁ……っ」
 抜けていく刺激にまた、敏感な躰が震えた。とろり……秘孔から蜜が垂れて、尻をすべり落ちていく。
 アーシェルは無言だった。小鳥のように震えている虹の脚頸をそっと掴み、くちびるをつける。
「アーシェル……?」
 献身めいた、或いは所有欲のにじんだ仕草に、虹は正体不明の恐れが背にはしるのを覚えた。
「っ、やめて。汚い……」
「……いいえ、綺麗ですよ。とても……」
 ふいに音声に優しみがこもった。
「ン……足、舐めないで」
 彼は黙ったまま、指を一本一本、丹念に舐めしゃぶった。
 右脚を舐め終えると、今度は左脚を。粘着な水音に、木霊が返すような音と、はぁはぁと虹の荒い息遣いが重なった。
「お慕いしています……私は虹様の忠実なしもべ。虜なのです」
 頬を緋桃に染めて喘ぐ虹を見つめたまま、アーシェルは囁いた。
 長い月白げっぱくの髪を煌めかせ、碧い瞳を愛欲に染めて、美貌のしもべは虹を丹念に愛撫する。先ほどまでの荒々しさはなりを潜めて、丁寧に、献身的に。
 じれったい熱が下半身にたまり、虹はそっと視線を逸らす。舐め溶かされた性器と躰の奥が疼くのを感じながら、股間を手で隠した。
「……御手を離してくださいませ。そこも舐めてさしあげる」
「もう十分……」
「いいえ、虹様。我らを裏切った罪――私をこれほど恐怖させた罰です。これからの幾千夜、その甘い躰で償わなければいけません」
「ごめんなさい、どうか赦して……アーシェル……っ」
 涙まじりに哀願する虹を、アーシェルは熱っぽく、だが無慈悲に見やった。
「もはや涙では償えないのです。どれほどの同胞が犠牲になったか判りますか? 復興にかかる幾千夜、種づけをしなければいけません」
「やぁ……っ」
 濡れしたたるアーシェルは、冷ややかで玲瓏れいろうだった。すすりなく虹を押し倒し、震える股間に顔をうずめた。すぅっと息を吸い込み、あたたかな息を吹きかけてから、むしゃぶりついた。
「ンぁッ!」
 混乱と欲望の坩堝のなか、虹は身もだえ、目も眩む強烈な光にいくどなく襲われ、身も世もなく泣いて赦しを請うた。アーシェルは決して中断せず、丁寧で執拗な愛撫はしばらく続き、ようやく解放されたとき、舐め溶かされた性器はぴくぴくと震えていた。
 ぐったりした虹の脚をひらいて、アーシェルは腰をすすめる。
「ぁ……あーしぇる……っ」
 碧い瞳が冷めやらぬ情熱と怒りを訴えている。嫉妬の火が、彼の真珠色の肌をいっそう煌めかせ、ぬかるんだ蜜壺にふたたび楔をまされ、虹は背を弓なりにした。
「あ、あぅぅッ!!」
 広い大地のうえで、揺さぶられる。
 はぁはぁと荒いお互いの息遣いと、腰のぶつかる音、淫らに濡れた水音が森の梢に反射し、悦楽を増幅させる。
「も、赦しっ……あ、あぁッ」
 ちあがった乳首をいじられながら、突かれまくる。熟れた孔に性器が乱暴にでいりし、虹は限界だった。
 躰の奥処おくかを熱塊が貫くたびに、視界に火花が散る。灼熱の肉棒が、破城槌はじょうづちのごとく虹を穿ち、肌のそちこちを掌がなであげ、舌と唇が這わされる。容赦のない愛撫に攻めたてられ、なにも考えられない。
「くふぅ……ン……あぁあぁぁ……」
 鼓動が、耳の奥で轟いている。
 揺さぶられながら、まるで自分が嵐に翻弄される小舟になった気がした。荒波に飲みこまれて、粉々になってしまう――臼挽きのようにぐるりと腰を回され、悦楽が螺旋を描く。
 アーシェルは震える虹の腰を両手で掴み、ぎりぎりまで引き抜いてから、ズンッ! 一気に突きあげた。
「ひあぁッ!!」
 快感の波が子宮めがけて突き進み、眼裏まなうらが真っ白に燃えあがった。
 弓なりになった虹の、尖りきったふたつの乳首を指に挟みこまれた瞬間、恍惚に襲われた。
「あぁ――ッ~~……!」
 視界に艶麗な火花が散る。びゅくっびゅくっと濃厚な乳を噴きあげながら、躰の深いところで熱い飛沫を感じた。
「虹様……」
 その囁きに、深い愛情があるように聞こえたのは、虹の願望かもしれない。けれども耳元で囁かれた声は、優しくて、蕩けそうなほど甘くて、今度こそ、本当に……愛の囁きにしか聞こえなかった。