超B(L)級 ゾンBL - 君が美味しそう…これって○○? -

4章:新人類 - 9 -

 嵐のなか、二人は歌舞伎町まで車を走らせ、廃墟と化したラブホテルに入った。
 レオは、渇望の兆候が顕れ始めていた。虹彩の金緑はかがやきを増して、広海が痛いと感じるくらいの力で腕を掴み、早足で歩いていく。
 ただならぬ様子が少し怖かったが、広海も躰が熱く疼いていた。
 部屋は全て空いているが、レオはどういう基準で選んだのか、三階の奥の部屋に広海を連れこんだ。
 多少、瓦礫の破片は散らばっているが、室内は綺麗にベッドメイクされていた。
「悪いけど、余裕がない」
 言葉の通り、レオはいきなり広海をベッドに押し倒した。ぎらぎらとかがやく眸には、焦燥と渇望にまとわりつかれた欲情が、くっきりと浮かんでいる。
 逞しい躰が迫ってきて、広海の心臓は高鳴った。視線が唇に落ちるのを感じて、そっと瞳を閉じる。
「ん……っ」
 少しひんやりした唇が重なったと思ったら、烈しい口づけが容赦なく降り注いだ。攻撃的に荒々しく、奔放で、餓えていたといわんばかりに貪られる。
 熱い呼吸、仄かなベルガモット、彼自身の肌からたち昇るえもいわれぬ魅惑的な匂い、濡れた水音……昂奮が全身を駆け巡っていく。
 胸もお尻も、汗とは違う体液で湿りっけを帯びて、恥ずかしい染みが拡がってしまっている。
 キスをしながら性急にジャケットを脱がされ、貫頭衣の裾に手がかけられると、広海は腰を浮かした。千切るような勢いで貫頭衣を奪われ、下着も脱がされる。
 レオも服を脱ぎ捨てると、引き締まった裸身をさらした。官能的な肢体、雄々しい勃起を見て、広海の昂奮はいや増した。
 熱の籠もった金緑の眸が、広海の全身を嘗めるように這う。見られているだけで、股間がきざしてきた。
 レオは、ふくよかな胸に掌をすべらせ、
「……ここ、触られた?」
 ぷっくりしたふたつの突起を親指に倒され、広海は小さな悲鳴をあげた。
「吸わせたの?」
 頸を振る広海を、レオは疑わしそうに見おろした。
「ほんと?」
「……うん」
 そっと視線を逸らして頷くと、乳暈にゅううんの割れ目を指の腹で、とんとん、と叩かれた。
「ぁッ」
 反射的に腰をくねらせる広海を、レオはベッドに押さえつけた。薄い刃のような笑みを口元に浮かべ、胸に顔を近づける。
「えっろい匂い……ほんとに、吸わせてないの?」
 胸のふくらみに吐息が触れて、ぶるっと腰が震えた。
「嘘つき。押さえつけられて、吸われまくったんだろ?」
 脳裏を、にやついた谷山の顔がよぎり、嫌悪に顔が歪む。途端に、レオの顔が険しくなった。
「あ゛? 何想像してんだ」
 答えるのも嫌で顔を背けると、レオは少し乱暴に頬を掴み、正面を向かせた。
「谷山? 他にもいた?」
 鋭い詰問口調に、さっきまで広海を浸していた暖かな官能は、さざなみのように引いていった。
「っ……ふぅっ」
 反論しようとしたが、唇が戦慄わなないて言葉にならなかった。レオは視線を和らげると、広海の髪を優しく撫でた。
「だから、集団環境は無理だっていっただろ?」
 悔しいが、頷くしかない。
「……赦してやるよ。俺が満足するまで、飲ませてくれたら」
 レオは広海の目を見つめながら、開いた胸に手を這わせた。
「ん……っ」
 乳輪ごと揉みしだかれ、波濤はとうのように悦楽がはしる。男なのに、胸を弄られて感じてしまう。
「ぁ、ん……あぁ……っ」
 頬をシーツに押しつけて、懸命に快感を逃がそうとしていると、濡れた熱い舌に、耳を舐めあげられた。
「ひぃんっ」
 ぐちゃぐちゃと濡れた水音に鼓膜を犯される。繊細な指の動きに翻弄されて、そこが、じんと疼くのを止められない。
「は、女みてぇな声……乳首からも射精するし、女よりエロいか。お尻からエナジー・ドリンクもでちゃうし? 捕まったら、そりゃエロいことされるよ」
 レオは快感を堪える広海を見つめながら、濡れた乳首をそっと吸いあげた。
「あ、あっ、ひぅ……っ」
 鋭い感覚がはしり、股間にまで響いた。
「ン……いやらしくなったよな……感じやすい身体、弄ばれちゃった?」
 淫靡な水音のまじった囁き声が、鼓膜を震わせる。一瞬谷山にされたことを思いだして、両腕を胸の前で交差しようとしたが、レオに手首を掴まれ、シーツに縫い留められた。
「隠すな」
「んぁっ」
 どくどくと脈打つ性器と化した乳首を、レオの舌が執拗に舐る。乳暈にゅううんの割れ目から赤い芯が顕れると、卑猥な水音を大きくしながら、いっそう口淫を烈しくする。
「だめ……っ、離して」
 張り詰めた股間に血潮が脈打ち、硬い腹に擦れる刺激だけで、達してしまいそうだ。
「谷山は良くて、なんで俺は駄目なんだよ?」
 レオは口角をひねって笑った。意地の悪い口調に、広海は泣きそうになった。
「違う、でちゃうから……っ」
 レオはわざと股間同士を擦りつけながら、乳首にしゃぶりついた。勃ちあがった乳首に舌を絡めて、頬を窄めて扱きあげる。
 淫靡な音と匂い、五感の全てを絡めとられ、広海は、乳首を極めた。視界が真っ白に燃えあがり、悦楽が迸る。
「――ッ! あぁっ、やぁんっ! あ、あ、あ、あ――~……ッ」
 噴きあがる蜜を、レオは夢中で啜りまくる。その執拗な姿が、一瞬谷山に重なって見えて、広海は顔を歪ませた。
「ぁ……レオだって、同じじゃんか。俺、俺の胸……吸ってるくせに……っ」
 顔をあげたレオは、ぐいっと手の甲で口元を拭いながら、
「あ゛? 誰と同じだって?」
「うぅ~~ッ……お、俺が悪いのかよ、怒られたって、そ、そんなの……っ」
 自分でも何をいいたいのか判らない。ただ、無償に哀しかった。唇を噛み締め、涙をこらえ、真っ赤な顔で鼻孔を膨らませる広海を見て、レオは険を和らげた。
「……悪ィ、八つ当たり」
 広海が顔を背けると、レオは覆い被さるようにして、広海を柔らかく抱きしめた。彼に腹を立てていても、ごめんな、と耳元で囁かれながら、優しく髪を撫でられると、毛羽立った心は柔らかく潤んでしまう。
「レオ……」
 自ら手を伸ばして、広海はレオの頸にかじりついた。レオは優しく広海の背中を撫でおろし、腰のくぼみに触れ……尻を揉みしだいた。
「ぁんっ」
 際立って甘い声が漏れて、広海は真っ赤になった。手の動きが一瞬止まったので、引かれたのかと怯えたが、いっそういやらしく揉みしだかれた。
「あぁっ」
「……お尻、触られた?」
 触られていない。広海は頸を振った。
「ほんと?」
 耳元で囁かれて、広海は頸をすくめながら、こくこくと頷く。嘘はついていないのに、レオの長い指が、探るように、もぐりこんでくる。
「レオッ」
 躰の奥が潤んで、蜜が溢れるのが判った。
「ん?」
「本当だから、そこは触られてなぃ……」
「ふぅん……ちょっと触っただけで、びしょびしょだけど」
 不埒な指に撹拌かくはんされて、ぐじゅぐじゅといやらしい音が聴こえてくる。その執拗さに苛立ちを感じ取り、広海は眉をさげた。
「ご、ごめんなさい……怒らないで」
「怒ってないよ、ロミ……怒らないから、教えて? ……何された?」
 なかを探る指が、くっと折り曲げられた。
「やぁ、んっ!」
「かわいい声……そんな声で啼いたんだ?」
「ッ! 違う、今のはっ」
 口を覆う広海の顔を、レオは強引に覗きこもうとする。
「違う? 真っ赤になって、お尻からえっちなゼリー溢れさせて、ほんとに触られなかった?」
 広海は、半泣きで頸を振った。
「……ほんと、そこは違う、吸われたの、ち、乳首だけ……っ」
 頭上から、あーあ……と、呆れた声が聴こえて、広海はびくっとした。
 レオは、広海の大腿を両手で掴むと、ぐいっと自分の方へ引っ張った。
 その獰猛さに、広海はぞくりと魅了された。恍惚の表情を浮かべてしまったのかもしれない。レオは唸って悪態をつくと、両脚頸を掴んで高く持ちあげた。
「あッ」
 きざしている股間がまる見えになる。咄嗟に手で隠そうとするが、煩げに振り払われた。
「暴れんな」
 そういってレオは、局部を覗きこんでくる。
「ちょ、見ないで」
「なァ……乱暴にされなかった?」
 どこか嗜虐的な口調に、広海は潤んだ目でレオを見つめた。触れ方は優しいのに、酷いことをされそうで、少し怖い。
 ちゅっちゅっと足頚にレオはキスをしながら、
「これで判ったろ? 秘密を知られたら、エッチなこといっぱいされるって。男でも関係なかったろ?」
 広海はくしゃっと顔を歪ませた。
 レオは腰を掴んで引き寄せ、股間に顔を近づけた。むっちりした大腿を押さえこんだまま、両の親指で尻を割り開く。
「いい匂い……」
 陶然と呟いて、顔を伏せる。蜜をこぼしている孔に、そっと唇をつけた。
「やだっ」
「やだじゃねーよ。谷山はよくて、なんで俺はだめなんだよ」
 広海は眉を寄せて、弱々しく頸をふる。
「こんなことされてないってばっ」
「どうかな」
 レオは、両の親指で孔を広げ、れろぉ……っと縁を舐めあげた。
「んっ……レオッ、だめ、舐めちゃ、ぁ……っ」
 皺の一つ一つを伸ばすように、丹念に舌でなぞりあげる。ふくろを舌で揺らされ、肉茎を舐めあげられ、股間はぐずぐずに蕩けていった。
「うぁッ、んっ、うぅ~~~っ、飲まないでよぉ……っ」
 広海の両目から、ぼろぼろ涙があふれでた。レオの頭をどかそうとするが、ちっとも止めてくれない。
「ん、美味しいよ、広海のえっちなゼリー……マジで、ずっと飲んでいられる」
 舌が奥の奥までもぐりこみ、じゅるるっと激しく吸飲されると、広海は髪をふりたててのけぞった。
「ぃッ、やあぁッ!! 飲まないでっ、レオ、やだぁッ」
「ン、でも溢れちゃってるし……もったいねーじゃん」
 熱に浮かされたようにいうと、レオは夢中でしゃぶりたてる。
「やめて、お尻はやめてぇっ」
 どれだけ懇願しても、尻孔を熱い舌で穿たれ、撹拌かくはんされてしまう。逃げようとする広海の尻を、レオは痛いほどの力で掴んで引き戻した。
「ぁっ」
「暴れんな、ロミ」
 尻に顔をうずめて、逃げたことを叱るように、舌を突き挿した。
「ひぁッん!」
 ぐるりと肉襞を舐め回され、広海はびくびくと腰を震わせた。軽い絶頂に侵されて、悦楽に貫かれる。
「ん……もしかして、イった?」
 広海は答えられなかった。尻を舐められて、こんなにも感じてしまうなんて、いえるわけがない。
「んぅ、ぁ……あぁっん、もぉ、やだぁ……っ」
 本気の泣きが入った広海を、整いすぎた顔が、恍惚の眼差しで見つめてくる。
「かわいい、ロミ……は、甘ぇ……マジで、ずっと舐めていられる」
 震える性器から、こぷりと蜜が溢れた。乳首もじんと痺れて、じんわりと濡れている。
 レオがようやく唇を放した時、広海は朦朧とした瞳で、荒い呼吸を繰り返すことしかできなかった。尻孔は、いやらしくひくつき、さらなる刺激を欲している。
 レオは、濡れて輝く孔を優しく指でなぞり、蠱惑的にほほえんだ。
「とろとろ……お尻気持ちいい?」
「っ……気持ち、いいからぁ……」
 ついに広海は敗北を認めた。れて……震える声でおねだりすると、レオは喉を鳴らして、広海の躰を持ちあげた。
「好きだ、ロミっ……」
 肉付きのよい腰を両手で掴み、隆々と勃起している切っ先を、尻孔にあてがった。期待にひくつく後孔を亀頭で愛撫しながら、くすりと微笑する。
「ぱくぱくしてる……ロミのエッチな孔、すげぇかわいい……っ」
 ずんっと熱塊に貫かれ、広海は背をしならせた。
「ああぁぁぁんっ」
 いきなり深く突き刺さり、全身から汗が吹きでた。
「ン、はいった……」
 根本まで沈めて、尻のくぼみに密着すると、レオは満足げに微笑した。太腿を掴んで、さらに股間を押しつける。
「んぐぅぅッ!」
 獣じみた喘ぎの声をあげながら、広海は身悶えた。波間を揺蕩たゆたうような抽挿ちゅうそうが始まると、全身から汗ともつかぬ蜜がどっと溢れだす。
「あっ、はぁッん、んんぅ……っ」
 開いた胸にレオの唇が触れる。小刻みに突きあげられながら、ちゅうっと乳首を吸われて、悦楽を駆けあがる。
「ああぁぁッ」
「すっげ、締まるっ……もうイッたの? 早くね?」
 真っ赤になる広海の頬に、レオはちゅっと口づけた。
「好きだ。ロミ、すげぇ好き……っ」
 豊満な腰を指が喰いこむほど抱えて、臼挽うすひきのようにぐるりと回す。甘い痺れと痙攣が全身を浸して、淫らな快感が螺旋を描いた。
「んあぁッ」
 灼熱のくさび穿うがたれて、広海は感じ入った嬌声をあげた。もはや全身が性器と化していた。淫蜜に塗れた媚肉を突きあげられ、暴れ狂う悦楽に溺れていく。
「あ、あ、あっ、はぁっ、ンッ」
 淫らに喘ぐ広海の腰を掴んで、レオは凄まじい精力で、激しく、力強く腰を打ちつける。広海が腰を引かせて少し休もうとしても、空隙くうげきを衝いて、突きあげてくる。
「は……っ」
 耳元に熱い吐息が触れた瞬間、広海は軽い絶頂を極めた。激しく み締めてしまい、レオが艶めいた呻きの声をあげる。内壁をしとどに濡らされたが、劣情は冷めやらず、挿入したまま、次の突きあげが始まった。
 淫靡な水音に包まれながら二人、交歓の虜になって、獣のように交わった。