超B(L)級 ゾンBL - 君が美味しそう…これって○○? -
1章:感染 - 8 -
広海は大きく目を見開いて、レオを見つめた。心臓は早鐘のように鳴りだし、二人の間には、熱く電気を帯びているような緊張が漂いだした。
「えっと……」
本能的に広海は席を立ち、後ずさりをした。
するとレオも立ちあがり、広海を見つめたまま近づいてくる。ゆっくりと自分の躰で、広海を壁に押しつけた。顔の横に腕を置かれて、囲われてしまう。
近すぎる。少しでも遠ざかろうとするが、もうこれ以上はさがれない。レオの熱い体温が広海の躰を刺激する。狼狽えて視線を泳がせていると、顎に指をかけられた。
鋭い眼差しに射抜かれて、どっくん……鼓動が鼓膜を打った。
魔性に魅了されて動けない。綺麗な顔が近づいてくる……少し冷たい唇が、広海の唇の表面を掠めた。電流が流れたように感じたのはレオも同じらしく、彼は少し躰を引いた。
「悪ィ……どうかしてるよな……」
自制するように呟いたが、両手は広海の肩の上の壁についたままだ。明るい琥珀の眸 のなかに、困惑の光が浮かんでいる。
広海はかける言葉が見つからなかった。心臓は制御不能なほど早鐘を打っている。目の前で、レオの喉が上下する様子が見えて、訳も判らず、胸をぎゅっと鷲掴みにされたような息苦しさに襲われた。
「あの……?」
思い切って視線をあわせると、レオの巴旦杏 の瞳は、欲望と葛藤で翳 っていた。
「……無理だ。自分じゃ止められない。殴ってくれ」
「えっ」
強い力で肩を掴まれ、広海は盛大に慌てた。レオも戸惑っているようで、肩を掴む手が少し震えている。
「だい、じょうぶですか……?」
「大丈夫じゃない……お前さ、俺に一服盛った?」
「へえぇ??]
頓狂な声をあげる広海を見て、レオはため息をついた。
「なわけないよな。意味わかんねぇ……どうしても、ロミにキスしたいんだけど」
「あのっ、俺ですよ? おおお俺ですよっ??」
「知ってる。あ――……もう諦めろ。俺は諦めた」
「うえぇッ!? ……んっ?」
混乱の極致から一刹那 、暖かくて、柔らかな感触に広海の全身が痺れた。
「ふぁっ……」
喉の奥で低く唸りながら、レオは唇を斜めに押しつけてくる。
「くそ……キスって好きじゃないのに、なんで……っ」
苛立ちと戸惑いの入り混じった声で呟きながら、唇を何度も喰み、閉じたあわいを舌でなぞる。
「ちょぉ、待っ……んぅっ」
引き結んだ唇がほころんだ瞬間、有無をいわさず舌が挿れられた。
咄嗟に拒めず、口腔のそちこちを刺激されて、逃げ惑う舌を搦 め捕られてしまう。
キスはおろか、舌を搦めた経験など広海にはない。
なすがまま唇を奪われていたが、ようやく抵抗することを思いだして、腕を振って藻掻こうとするが、両手首をきつく掴まれて、壁に押しつけられた。
「ゃ……ッ!」
顔を振って、なんとか唇をもぎ離すことに成功しても、すぐにまた塞がれる。叱るように舌をきつく吸われて、躰が震える。逃げられない。経験値が違いすぎて、太刀打ちができない。
「レオさぁんっ……んぶ」
息苦しさに広海が逃げようとしても、頬に手を添えて、貪欲に奪ってくる。
「っ、ロミ、ごめん……やめられねぇ……ッ」
信じられないほど艶めかしい水音が、薄暗い室内に響いている。自分が軟体生物になってしまったかのように、躰の自由がきかない。
なんとか舌を奥にひっこめようとするが、巧みに搦め捕られ、すすられる。
貪るような、捕喰されていると思わせられる、喰われるようなキス。
二人の間から濡れた水音が聴こえている。
されるがまま唇を奪われていたが、腹部の奥深くから熱い疼きがこみあげるのを感じて、ぎくりとした。
「ぁ、待って……怖いっ」
息継ぎの合間にどうにかいうと、レオの全身は強張り、それからゆっくりと躰を離した。濡れた唇から銀糸が垂れる前に、ぷつりと赤い舌で断ち切る。
広海ははぁはぁと呼吸は荒く、顔が真っ赤だ。心臓は早鐘を打っていて、全身にびっしょり汗をかいている。レオも目元を朱く染めて、扇情的な表情をしている。艶めいているが、餓えた狼のようでもあり、金色の虹彩は熱を孕んでぎらぎら光っている。
ぐったりしている広海の頬を、レオは優しい手つきで撫で、濡れた唇を親指で拭った。
「……かわいい」
ぽろっと零れた呟きに、広海は目を瞠った。
かわいい? 誰が?? 広海が???
いきなりキスをされて、それも男に、怒りと嫌悪に襲われてもおかしくはないはずなのに、意味不明なほど胸が高鳴っている。
(あ、ありえないだろ……初キスが……えっ、俺ってホモだったの……??)
頭のなかは疑問符だらけ。思考回路は混沌を極めた。
「もっかい……」
え、と広海が目を瞠っている間に、レオは再び覆いかぶさってきた。
「んっ!」
噛みつくようなキス。上唇も下唇も喰まれ、吸われ、引っ張られる。緩んだ隙間から容赦なく舌をねじこまれて、口内を犯される。顔が熱くなっていく。呼吸困難を起こしそうだ。
「ん、んんぅッ!」
窮状を訴えようにも声にならない。脚の間に大腿をねじこまれ、腰を強く押しつけられると、股間が熱を帯びているのが感じられた。
(うぎゃあぁ――ーッ! やばい! 勃つ!!)
慌てて腰を引かせようとするが、レオはさらに股間をぐいぐいと押しつけてくる。熱くて硬い昂りが、厚い布を挟んでも感じられて、広海は慄 いた。
「は、んぅっ……ぁ、待っ……ん」
脚ががくがくしてきた。レオの大腿に上半身を支えられているような状態だ。片方の手首の戒めがはずれて、ぐいっと腿を持ちあげられた。原始的な腰の動きで、股間を押しつけてくる。信じられないほどの艶めかしさで、広海はくらくらした。
(やば、だめ、だめっ……)
あえぎの声すら飲みこまれて、必死に心のなかで救済を叫ぶ。下着のなかはびっしょり濡れて、尻から大腿に汗が流れていくのが判った。
これ以上はもう限界なのに、股間を大腿で刺激されながら舌を搦められ、腰がぐずぐずに溶けていく……
「ん、んぅ……っ」
鼻にかかった声は、自分のものとは思えぬほど弱々しく、切なげだった。半分涙の入り混じった声を聞いて、レオは、ようやく躰を離した。
「ロミ……」
「ぁ……あぁ……?」
半ば呆然自失状態で、広海は答えられない。ぼんやり視線を彷徨わせ、ゆっくり美貌に定める。レオは、情欲の籠もった眸 で広海を凝視していた。
「……悪ィ、がっついた」
「なんで……?」
美味そうな匂いがするとは、こういう意味だったのか……?
広海は肩で息を整えながら、そのことに思い至った。まだ混乱していて、うまく理解できない。脚ががくがくして倒れてしまいそうだった。ふらつく躰をレオはぎゅっと抱きしめ、宥めるように背中を撫でた。
それは性的な触れ方とは違う、落ち着かせるための慰めで、広海は思わずレオの胸のシャツをぎゅっと掴んだ。
「っ、ロミ……」
レオはその手を掴むと、そっとはずさせた。不安そうに広海が顔をあげると、ふぃっと視線を逸らす。
「やべー……ちょい、頭冷やさせて。ロミ、着替えてこいよ。なんならシャワーも浴びて……あ、怪我のとこ濡らさないように……できる?」
広海は目を瞬いた。もちろんできる。反応しかけている下半身をどうにかしないと、広海もやばい。
「大丈夫です……え~っと、じゃぁ、シャワーお借りします……」
「ん」
失礼します……と、消え入りそうな声で、広海は囁いた。天を仰いで深く息を吐いているレオの横を、遠慮がちに通りすぎる。
階段をのぼって和室に入ると、つめていた息をゆっくりと吐きだした。
(今のは一体……なんでキスしたんだろう? いい匂いって、ああいう意味だったの!? ……でも、俺だぞ? 俺だぞ?????)
胸に手を置くと、心臓の鼓動はまだ早鐘を打っていた。不意に、レオの胸に手を置いた時の感触が蘇った。彼の心臓も、同じくらいに早かった。
お互いに夢中だった。貪るようなキスに……
広海は思考を振り払うように、かぶりを振った。
二人ともどうかしている。頭を冷やした方が良いのは、広海も同じだ。
シャワーを浴びて着替えると、ちょっと躊躇ってから、下へ降りていった。レオはもう普段の調子に戻っていて、広海が拍子抜けするほど普通だった。
二人で日課の在庫チェックをして、レオが持ってきてくれた日用品や喰料なんかも確認した。
それから、レオの手料理を喰べて、ちょっと寛いで、レオが風呂に入っている間に広海は眠りに就いた。彼と眠るタイミングをずらしたいという気持ちもあったが、心身ともに疲れきっていた。
色々な意味で、酷く緊張を強いられた一日だった。
「えっと……」
本能的に広海は席を立ち、後ずさりをした。
するとレオも立ちあがり、広海を見つめたまま近づいてくる。ゆっくりと自分の躰で、広海を壁に押しつけた。顔の横に腕を置かれて、囲われてしまう。
近すぎる。少しでも遠ざかろうとするが、もうこれ以上はさがれない。レオの熱い体温が広海の躰を刺激する。狼狽えて視線を泳がせていると、顎に指をかけられた。
鋭い眼差しに射抜かれて、どっくん……鼓動が鼓膜を打った。
魔性に魅了されて動けない。綺麗な顔が近づいてくる……少し冷たい唇が、広海の唇の表面を掠めた。電流が流れたように感じたのはレオも同じらしく、彼は少し躰を引いた。
「悪ィ……どうかしてるよな……」
自制するように呟いたが、両手は広海の肩の上の壁についたままだ。明るい琥珀の
広海はかける言葉が見つからなかった。心臓は制御不能なほど早鐘を打っている。目の前で、レオの喉が上下する様子が見えて、訳も判らず、胸をぎゅっと鷲掴みにされたような息苦しさに襲われた。
「あの……?」
思い切って視線をあわせると、レオの
「……無理だ。自分じゃ止められない。殴ってくれ」
「えっ」
強い力で肩を掴まれ、広海は盛大に慌てた。レオも戸惑っているようで、肩を掴む手が少し震えている。
「だい、じょうぶですか……?」
「大丈夫じゃない……お前さ、俺に一服盛った?」
「へえぇ??]
頓狂な声をあげる広海を見て、レオはため息をついた。
「なわけないよな。意味わかんねぇ……どうしても、ロミにキスしたいんだけど」
「あのっ、俺ですよ? おおお俺ですよっ??」
「知ってる。あ――……もう諦めろ。俺は諦めた」
「うえぇッ!? ……んっ?」
混乱の極致から
「ふぁっ……」
喉の奥で低く唸りながら、レオは唇を斜めに押しつけてくる。
「くそ……キスって好きじゃないのに、なんで……っ」
苛立ちと戸惑いの入り混じった声で呟きながら、唇を何度も喰み、閉じたあわいを舌でなぞる。
「ちょぉ、待っ……んぅっ」
引き結んだ唇がほころんだ瞬間、有無をいわさず舌が挿れられた。
咄嗟に拒めず、口腔のそちこちを刺激されて、逃げ惑う舌を
キスはおろか、舌を搦めた経験など広海にはない。
なすがまま唇を奪われていたが、ようやく抵抗することを思いだして、腕を振って藻掻こうとするが、両手首をきつく掴まれて、壁に押しつけられた。
「ゃ……ッ!」
顔を振って、なんとか唇をもぎ離すことに成功しても、すぐにまた塞がれる。叱るように舌をきつく吸われて、躰が震える。逃げられない。経験値が違いすぎて、太刀打ちができない。
「レオさぁんっ……んぶ」
息苦しさに広海が逃げようとしても、頬に手を添えて、貪欲に奪ってくる。
「っ、ロミ、ごめん……やめられねぇ……ッ」
信じられないほど艶めかしい水音が、薄暗い室内に響いている。自分が軟体生物になってしまったかのように、躰の自由がきかない。
なんとか舌を奥にひっこめようとするが、巧みに搦め捕られ、すすられる。
貪るような、捕喰されていると思わせられる、喰われるようなキス。
二人の間から濡れた水音が聴こえている。
されるがまま唇を奪われていたが、腹部の奥深くから熱い疼きがこみあげるのを感じて、ぎくりとした。
「ぁ、待って……怖いっ」
息継ぎの合間にどうにかいうと、レオの全身は強張り、それからゆっくりと躰を離した。濡れた唇から銀糸が垂れる前に、ぷつりと赤い舌で断ち切る。
広海ははぁはぁと呼吸は荒く、顔が真っ赤だ。心臓は早鐘を打っていて、全身にびっしょり汗をかいている。レオも目元を朱く染めて、扇情的な表情をしている。艶めいているが、餓えた狼のようでもあり、金色の虹彩は熱を孕んでぎらぎら光っている。
ぐったりしている広海の頬を、レオは優しい手つきで撫で、濡れた唇を親指で拭った。
「……かわいい」
ぽろっと零れた呟きに、広海は目を瞠った。
かわいい? 誰が?? 広海が???
いきなりキスをされて、それも男に、怒りと嫌悪に襲われてもおかしくはないはずなのに、意味不明なほど胸が高鳴っている。
(あ、ありえないだろ……初キスが……えっ、俺ってホモだったの……??)
頭のなかは疑問符だらけ。思考回路は混沌を極めた。
「もっかい……」
え、と広海が目を瞠っている間に、レオは再び覆いかぶさってきた。
「んっ!」
噛みつくようなキス。上唇も下唇も喰まれ、吸われ、引っ張られる。緩んだ隙間から容赦なく舌をねじこまれて、口内を犯される。顔が熱くなっていく。呼吸困難を起こしそうだ。
「ん、んんぅッ!」
窮状を訴えようにも声にならない。脚の間に大腿をねじこまれ、腰を強く押しつけられると、股間が熱を帯びているのが感じられた。
(うぎゃあぁ――ーッ! やばい! 勃つ!!)
慌てて腰を引かせようとするが、レオはさらに股間をぐいぐいと押しつけてくる。熱くて硬い昂りが、厚い布を挟んでも感じられて、広海は
「は、んぅっ……ぁ、待っ……ん」
脚ががくがくしてきた。レオの大腿に上半身を支えられているような状態だ。片方の手首の戒めがはずれて、ぐいっと腿を持ちあげられた。原始的な腰の動きで、股間を押しつけてくる。信じられないほどの艶めかしさで、広海はくらくらした。
(やば、だめ、だめっ……)
あえぎの声すら飲みこまれて、必死に心のなかで救済を叫ぶ。下着のなかはびっしょり濡れて、尻から大腿に汗が流れていくのが判った。
これ以上はもう限界なのに、股間を大腿で刺激されながら舌を搦められ、腰がぐずぐずに溶けていく……
「ん、んぅ……っ」
鼻にかかった声は、自分のものとは思えぬほど弱々しく、切なげだった。半分涙の入り混じった声を聞いて、レオは、ようやく躰を離した。
「ロミ……」
「ぁ……あぁ……?」
半ば呆然自失状態で、広海は答えられない。ぼんやり視線を彷徨わせ、ゆっくり美貌に定める。レオは、情欲の籠もった
「……悪ィ、がっついた」
「なんで……?」
美味そうな匂いがするとは、こういう意味だったのか……?
広海は肩で息を整えながら、そのことに思い至った。まだ混乱していて、うまく理解できない。脚ががくがくして倒れてしまいそうだった。ふらつく躰をレオはぎゅっと抱きしめ、宥めるように背中を撫でた。
それは性的な触れ方とは違う、落ち着かせるための慰めで、広海は思わずレオの胸のシャツをぎゅっと掴んだ。
「っ、ロミ……」
レオはその手を掴むと、そっとはずさせた。不安そうに広海が顔をあげると、ふぃっと視線を逸らす。
「やべー……ちょい、頭冷やさせて。ロミ、着替えてこいよ。なんならシャワーも浴びて……あ、怪我のとこ濡らさないように……できる?」
広海は目を瞬いた。もちろんできる。反応しかけている下半身をどうにかしないと、広海もやばい。
「大丈夫です……え~っと、じゃぁ、シャワーお借りします……」
「ん」
失礼します……と、消え入りそうな声で、広海は囁いた。天を仰いで深く息を吐いているレオの横を、遠慮がちに通りすぎる。
階段をのぼって和室に入ると、つめていた息をゆっくりと吐きだした。
(今のは一体……なんでキスしたんだろう? いい匂いって、ああいう意味だったの!? ……でも、俺だぞ? 俺だぞ?????)
胸に手を置くと、心臓の鼓動はまだ早鐘を打っていた。不意に、レオの胸に手を置いた時の感触が蘇った。彼の心臓も、同じくらいに早かった。
お互いに夢中だった。貪るようなキスに……
広海は思考を振り払うように、かぶりを振った。
二人ともどうかしている。頭を冷やした方が良いのは、広海も同じだ。
シャワーを浴びて着替えると、ちょっと躊躇ってから、下へ降りていった。レオはもう普段の調子に戻っていて、広海が拍子抜けするほど普通だった。
二人で日課の在庫チェックをして、レオが持ってきてくれた日用品や喰料なんかも確認した。
それから、レオの手料理を喰べて、ちょっと寛いで、レオが風呂に入っている間に広海は眠りに就いた。彼と眠るタイミングをずらしたいという気持ちもあったが、心身ともに疲れきっていた。
色々な意味で、酷く緊張を強いられた一日だった。