アッサラーム夜想曲
聖域の贄 - 37 -
重症を負った憲兵は療養所に運ばれた。動ける者で遺品を回収し、現場を片付け、撤収する頃にはすっかり夜の帳 がおりていた。
雨はもうやんでいて、雲間からのぞく星明かりが、疲労困憊した憲兵たちを優しく照らした。
ナディアとサンジャルは書類仕事のために本部に戻っていったが、ハイラートは治療のために療養所へ、ヤシュムは彼につき添い、サリヴァンとジュリアスは帰路についた。
雨あがりの、露草と土の匂いがする。
青い星が高く昇り、樹影は華麗で、星光を浴びた素馨 は白い衣をまとった聖人のようだった。
逸 る心でジュリアスがクロッカス邸に戻ると、玄関まで光希が迎えにやってきた。
「お帰りなさい!」
「ただいま、光希」
両腕を広げると、光希は駆け寄ってきたものの、飛びこんではこなかった。腕に控えめに触れながら、素早くジュリアスの全身に目を走らせた。
「怪我はない?」
「ありませんよ」
「本当? 血の匂いがするよ」
深刻げに光希がいうと、ジュリアスも己の腕の匂いを嗅いで、思わず眉をひそめた。
「すみません、屑鉄場に長時間いたから、匂いが移ってしまったようです」
「怪我はしていない?」
「していません」
誇張ではなく殆ど無傷だった。手の甲に小さな擦り傷があるくらいだ。
光希もようやく肩から力を抜くと、安心したように笑みを浮かべた。
「そっか、良かった。ジュリが無事で……」
「今度こそ終わりました。今朝は心配させてしまい、すみませんでした」
「ううん、無事に帰ってきてくれて良かった。大変だったよね、本当にお疲れ様」
ジュリアスは光希の髪を優しく撫でた。ありふれた労 いの言葉も、彼のくちびるからこぼれると、特別に胸に響く。
「……際どい瞬間もありましたが、光希に救われました。私を呼んでくれて、どうもありがとう」
実際、危ないところだった。常人より高い克己心 を抱いていると自負していたが、邪悪な精神感応に危うく飲みこまれるところだった。光希の祈りが、躰と魂と心をひとつに繋いでくれたのだ。
「うん……助けになれたなら、良かった」
光希がほほえむ。優しい夜のような瞳に涙がにじんで、星のように煌めいて光る。
「実は神殿前でジュリと別れたあと、クロガネ隊の皆で作った燭台を、全部祭壇前に運んでもらったんだ。それからずっと祈っていたんだ」
ジュリアスは光希の目元を親指で優しくすり、身を屈めると額をあわせた。
「ええ……光希の声が聴こえました。どこにいようとも、貴方はいつだって私を照らしてくれる」
光希はジュリアスの手のうえに、己の手を重ねた。
「ほらね、いったでしょ。いつも傍にいるって……っ」
笑おうとして唇の端が歪んだ。ぽろっと涙がこぼれ落ちる。
「心配したよ、本当に……無事で良かった……っ」
光希は額にかかった金髪をかきあげると、額の青い宝石にくちづけた。
その瞬間、とてつもなく大きな感情が、ジュリアスの心と躰と魂をかけめぐった。
「ああ、光希……っ」
両腕できつく抱きしめると、光希も強い力でしがみついてきた。自分よりひとまわりも小さい柔らかな存在を、途方もなく大きく感じる。彼の示してくれる愛は、無私無欲の宝物にほかならない。
「すみません、思いきり抱きしめてしまいました」
ふと気がついて腕の力を緩めると、光希は笑った。
「平気だよ」
涙を拭きながら笑う光希を見て、ジュリアスも微笑を浮かべた。
「匂いを落としてきます。すぐに戻るので、寝室で待っていてください」
「うん」
果たして意味を理解しているのか、光希は穏やかで無垢な笑みを浮かべた。
ジュリアスの方は、欲望が目に顕れている自覚があったが、余計なことは口にせず、螺旋階段をのぼっていく光希を見送った。
それからまっすぐ浴室に向かうと、液状石鹸で髪から躰から全身を素早く洗い流した。早く光希の待つ寝室に戻りたい。しかし錆鉄の匂いはなかなかとれず、二回念入りに洗い流して、ようやくとれた。
髪を拭きながら寝室に戻ると、寝台に腰かけていた光希が顔をあげた。真面目な顔でジュリアスの正面にやってくると、
「服を脱いで」
「喜んで」
ジュリアスが躊躇いなく全て脱ぎさると、光希はちょっと目を見張ったが、看護者めいた慎重な手つきで、肩や腕を確かめ始めた。
「……どこも怪我をしていないでしょう?」
ひとりで待っている間に、不安にさせてしまったらしい。安心させるように笑みかけながら、ジュリアスの意識は、血潮を滾らせている股間に向かっていた。
「うん……良かった。ジュリの躰は綺麗だね」
賛嘆の眼差しが、ジュリアスの全身に注がれる。本人は無意識なのだろうが、ジュリアスは劣情を刺激されてたまらなかった。
「もういいですか?」
返事を待たずに、ジュリアスは光希の躰を抱きあげると、寝台におろすと同時に覆いかぶさった。
「光希……」
ジュリアスは光希の顔を、吐息が触れるほど近くから覗きこんだ。そして餓えたように激しく唇を奪った。
「ん……っ」
性急さに驚いたのか、光希は一瞬躰を強張らせたが、すぐに力を抜いた。
唇を割って舌を挿しいれると、鋭い官能の矢がその舌から全身を貫いて、下腹部を刺激した。
熱く脈打つ下肢を押しつけると、光希は官能的な呻きを漏らした。彼にしては積極的に、ジュリアスの頸に両腕を回して、唇を吸い返してくる。えもいわれぬ異国の甘く濃い美酒を煽ったように、脳髄がしびれる。或いは口写しに与えられた媚薬かもしれない。
「はぁ、あ、ジュリ……ッ」
舌を貫く火酒が咽を通り、臓腑を焦がす。血脈を伝って全身に駆け巡り、ジュリアスの躰を裡 から炙りたてる。
くちびるを重ねながら、光希の寝室着を奪いとり、寝台のしたに放りすてた。
顔を離すと、今度はジュリアスが賛嘆をこめた目で、象牙色の肢体を嘗め回した。
「綺麗です。とても……」
これほど美しく柔らかい躰を、光希が厭う理由がまるで判らない。彼はどこを見ても完璧だ。
「……ありがとう、ジュリのおかだよ。発疹が治ったんだ」
光希は頬を薄紅色に染めて、潤んだ目でほほえんだ。
「確かめさせて」
まろやかな肢体をあますところなく、丁寧に探っていった。頬から首筋、鎖骨、丸い肩、腕、背中、ふくらはぎ……どこもかしこも柔らかい。剣の柄が手になじむように、光希の躰はジュリアスになじむ。
「……綺麗に治りましたね。どこもかしこも、まろやかな象牙色の肌です」
賛美と愛をこめて躰に触れながら、ゆるやかに起伏する胸に視線を奪われる。肉づきの良い胸を揉みしだくと、光希は背をしならせた。
「はぁ、ん……っ」
さしだされた胸にジュリアスは顔を寄せて、紅い突起に舌を伸ばした。そっと突くと、電流が走ったみたいにびくびくっと震える。円を描くように舌を這わせてから、つんと尖った乳首を口に含んだ。
「ふぁっ……ん……っ」
媚薬のような嬌声を聞きながら、柘榴色の肉粒を指でこねて、摘まみ、そっと摩る。代わる代わる指と舌で愛撫し、そそり勃 つ乳首に歯を立てた。
「あぁっ、ん……ぁ……っ」
胸への愛撫に、光希も悦 さそうに、もぞもぞと太腿をすりあわせている。涙をこぼしている性器にはまだ触れず、ふくらはぎから脚首に手をすべらせていき、高く持ちあげた。
「ジュリ……」
肘で上体を支えながら、光希が目で抗議する。
「……よく見せて」
片脚をもちあげると、兆 している股間が露わになる。光希は恥ずかしそうにしているが、ジュリアスは構わずに、脚の指の間に舌を這わせた。
「ちょっ、そんなところ、発疹はなかったよ」
「……そう?」
指の合間に舌をはわせながら見つめると、光希は悩ましげな顔で見つめ返してきた。
「……舐めないで」
聴こえないふりをして指を口に含むと、光希は反射的に脚を引こうとした。逃げようとする脚を捕まえて、ジュリアスは指を舐めしゃぶる。
「っ、ん……汚いよ……っ」
羞恥に濡れた声はしかし、幽 かに欲望もまじっていた。
「光希に、汚いところなんてありません。私は貴方の躰なら、どこにでもくちづけられる……」
囁いた通りに、ジュリアスはくちびるで愛撫した。光希は何度も逃げようとしたが、そのたびに捕まえて、腰を引き戻し、十本の指を丹念に舐めしゃぶった。
「もぅ、舐めないで……っ」
しまいには、潤んだ黒い瞳が、哀願するようにジュリアスを見つめてきた。
「光希……」
股間は痛いほど張り詰めていたが、ジュリアスはまだ物足りなかった。もっと舌とくちびるで彼を愛したい――白く丸い尻をぐっと掴んで押し開いた。
「ここも柔らかくしないと……」
ひくつく後孔に息を吹きかけると、光希は小鳥のように震えた。動けぬよう太腿を両腕で押さえこみ、えもいわれぬ甘い香りがする場所に顔を沈める。
「ぁん……あ、ぁ……っ」
舌で探ると、香辛料をまぶした林檎のような、甘い、陶酔を誘う味わいがする。
陰茎は慈悲を求めて硬くなり、かつてないほど熱 っている。舌を深くもぐらせて、敏感な粘膜をすりあげるうちに、媚肉は花開くように綻んだ。淫靡な水音が天蓋に響いて、さらに躰が熱くなる。
「も、いいよ、ジュリ……ぁっ」
肘をついて逃げようとする肢体を、ジュリアスはすぐに寝台の中央に引き戻した。
「今夜は長く愛させて……痛めないように、たっぷり舐めて、ほぐさないと」
秘孔にじゅっと吸いついてから、ぞろりと会陰 を舐めあげた。刺激が強すぎたのか、光希の腰が大きく撥ねあがる。
「あぁッ、や……っ」
声を聴いているだけで、睾丸がうずいた。
むしゃぶりつきたくなるのを堪えて、陰嚢 をあやすように舌で揺らしてやる。
「や……ぁあぅっ」
そのまま口に含んで、舐めしゃぶると、目の前で陰茎がひくひくと震えた。涙をこぼしている先端を、親指で優しく摩ってやると、光希は小さな悲鳴をあげた。
「もぅ、ジュリ……っ」
切羽詰まった声で窮状を訴えてくる。
焦らすつもりはないのだが、ジュリアスは光希の全身を舐めて、溶かしてしまいたかった。もっと夢中になってほしい――ジュリアスのことしか考えられないほど――彼にも強くジュリアスを求めてほしい。
愛おしい勃起を、舌をからめて舐めしゃぶる。唇も、指も、汗も、光希の全てが愛おしい。食べてしまいたいほど。
焦がれるような熱情は殆ど堰を切って溢れる寸前だったが、光希の声がすすり泣きに変わると、少し引いた。
真闇 を見つめたときに感じた、途方もない飢渇 、己の罪深い欲望を思いだしたのだ。
「……?」
涙に濡れた目が、動きを止めたジュリアスを、問いかけるように見つめ返してくる。
「……無理をさせていますか?」
「……? どういう……?」
彼はジュリアスの聖域だ。だが同時に、贄なのかもしれないと疑問に思う。誰よりも愛している。世界の誰よりも――己の命よりも大切な存在だ。しかし貪るほど激しいこの愛は、はたして光希にとって幸せなのだろうか?
「私が求めすぎているなら……」
やめるという選択肢はないが、かろうじて手加減はできる。光希の表情を注意深く見守っていると、白い手が伸ばされ、脈打つ猛りに触れた。
「っ、光希……」
感じやすい裏側を優しく指で愛撫されて、ジュリアスは低く呻いた。
「無理していないよ。僕もジュリがほしい……」
頬を染めて、光希が囁いた。
「本当に?」
ジュリアスは瞳を見つめて、訊ねた。
「ぅん……」
光希は視線をそらさずに頷いたが、すぐに照れて、ふぃっと視線をそらした。
その瞬間、ぞくりとした震えに、ジュリアスは全身を貫かれた。
心臓を鷲掴まれたような衝撃だった。自制心の欠片が砕け散り、一瞬にしてやわらかな躰を組み敷いていた。
「ぁっ!」
まろい尻を手で支えて、腰を持ちあげる。愛撫で潤みきったそこに熱い昂りを押し当てると、目をあわせながら挿入した。
「あぁぁんッ!」
奥まで刺さる一突きに、光希の喉から嬌声が迸る。
挿入しただけで達しそうになり、ジュリアスもまた、全身の筋肉を収縮させ、目をきつく閉じたまま静止した。
「あぁ……気持ちいい……」
えもいわれぬ陶酔感――蜂蜜を溶かしたような肌から、甘い匂いがたちのぼり、頭がくらくらする。
体重をかけすぎないよう気をつけて躰を倒すと、のけぞらせた白い喉にくちびるを寄せた。やんわりと喰 みながら、時折吸いついて痕を残していく。
そのまま、ゆるやかに腰を遣い始めると、光希もあえかな声をあげながらしがみついてきた。
「あ、あ、あぁ……んっ」
くちびるを強引に奪い、舌を吸いあげて貪りながら、躰の奥処 を貪る。
突きあげは次第に早くなり、奥深くまで貫く激しい律動を繰り返したので、光希は自分の躰を支えようとし、ジュリアスの胸に指先を伸ばし、頸をのけぞらせた。
「かわいい、光希……愛しています……」
ジュリアスはふたりの躰の間に手をすべらせ、熱を帯びた性器に触れた。先端を指で愛撫しながら、突きあげる。
「ふぁっ、ん、あ、あ、ぁ……ンッ」
光希が、高く快感の声をあげる。
緩急をつけて突きあげながら、その間もずっと性器を優しく愛撫した。媚肉がうねり、熱く蕩けていく。液状の絹に包まれているみたいに心地良い。
「はぁ、ああ、でちゃ、ぅッ」
いった傍から、びゅくびゅくと白い蜜が噴きあがり、ふたりの間を濡らした。
甘く締めつけられて、ジュリアスも低く呻いた。あまりの心地よさに達してしまいそうになるが、光希の絶頂を優しく導くことに集中した。
「……気持ちいい?」
「ぅん……」
紅潮した顔で、光希が頷いた。
その蕩けた顔と声に、ジュリアスも暖かな官能に浸された。甘美な躰の虜になって、本能の赴くままに、腰を遣い始めた。
「あ、あっ、ぁんっ!」
律動は速く激しかったが、一定のリズムを刻んでいたので、光希もその動きにあわせて腰をくねらせた。
「はぁ、光希、愛している……ッ」
くちびるを奪い、舌を搦めながら、やわらかな躰の一番やわらかいところを何度も突きあげる。そのまま、一番深いところで果てた。
「ぁつい……っ」
小さく喘ぐ光希を抱きすくめて、腰をぴったりとつけたまま、一滴残らず飛沫をなかに注ぎこんだ。
吐精のあと、ほんの数秒ほど無力でいたが、楔は抜かなかった。
体力のない光希は、早くも躰を弛緩させているが、ジュリアスは動きを再開した。ぬぷっ……淫靡な水音をたてながら、ゆっくりと引いて……また押し入る。
「ん、待って……」
弱弱しい訴えを無視して、ぐぐっと腰をせりだした。
「あぁあぁッ!」
一気に奥まで突き入り、光希は大きくのけぞった。ジュリアスの胸に手をついて、押しのけようとするが、哀れにか弱く、今にも毀 れてしまいそうで、あまりに愛おしく、こうなってはもう貪ることをやめられなかった。
「光希……っ」
象牙色の肢体を組み敷いて、両手が沈むほど強く腰を掴み、媚肉を穿つ。じゅぷっ、じゅぷっ、粘着な水音を天蓋に響かせながら揺さぶり続ける。
「あ、あっ、んぁッ」
甘い嬌声をあげるくちびるは、ふっくらと紅く、濡れている。
見ているとまた欲しくなり、奪うようにくちびるを重ねた。息苦しさに光希が顔をそむけようとすると、衝動的に頬を掴み、逃げられないうようにしてから、甘く深く貪った。
「ん、ぅ、んぅっ……」
何度も舌を吸いあげて、甘い唾液を飲みこんでから顔を離した。ふたりの間に淫靡な銀糸が垂れる。ぷつりと舌できりながら、左脚を肩に乗せると、光希はふさふさの眉を悩ましげに寄せた。
「僕もう、息が……動けなぃ……っ」
「私が動きます。ゆっくり挿れるから……いい?」
脚頸にくちづけながら囁くと、光希は少し躊躇い、小さく頷いた。
「ありがとう。そのまま、力を抜いていて……」
宣言した通りに、ゆっくり挿入すると、光希は濡れた目で見つめてきた。熟れた孔が、ジュリアスをきつく締めつけてくる。一気に挿入したくなるが、自制し、脈打つ楔を慎重に奥まで沈めた。
「あぁ……っ」
深く刺さったあと、はずみで入り口まで戻り……再び奥まで突き刺した。何度も、何度も、何度も、繰り返すうちに、自然と速度はあがっていく。
「やぁっ、あ、ンッ!」
剛直を咥えこむ後孔は、粘着な水音を撥ねさせながら、波飛沫のように白く泡立っている。
それを見てまた躰が熱くなり、いっそう奥まで侵入した。繰り返し、何度も、何度も、突きあげる。
「あぁ、またっ……いく、ぅ~っ……」
光希は尻を浮かせ、無意識に艶かしく身悶えた。きゅうぅっと甘く締めつけられて、ジュリアスもふたたび極めた。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ」
荒い呼吸を繰り返す光希の髪を撫で、秀でた額にくちびるを押しあてる。そのまま愛を囁いた。
「好きです、光希。愛しています……」
「……僕も好きだよ」
喉の奥で、ジュリアスは低く笑った。十回に一回くらいは、光希も言葉を返してくれる。
ふたりの躰が快楽 の海に溶けあって、背中から沈みこんだ。快い充足感に浸されて、抱きあったまま、光希の呼吸が整うのを待った。
「……光希、眠い?」
えもいわれぬ黒い瞳が、快楽に蕩けている。
「ん……」
ジュリアスはまだ熱が引けていないが、光希は半睡状態で、今にも眠ってしまいそうだ。彼の意識が落ちてしまう前に、ひとつだけ、どうしても訊きたいことがあった。
「……あれから 、悪夢を見ますか?」
あたたかい肌にくちびるをつけたまま囁いた。なかなか返事がないので、顔を覗きこむと、光希はとろんとした目で見つめ返してきた。
「……ううん。ジュリの夢なら、たくさん見たよ」
「どんな夢?」
黒い瞳に、面映ゆそうな、不思議な光が灯った。
「それは……最初は怖い夢だと思っても、途中からジュリがでてきて、塗り替えてくれるんだ。つまり……今、夢と同じことをしていたかな」
ジュリアスはクックッと笑いながら、
「それを聞いて安心しました。苦労して失踪怪異を解決した甲斐がありました」
「……」
静かな寝息が聞こえてきて、ジュリアスは満ち足りた心地で微笑した。
「お休みなさい、光希」
まだ身の裡 に熱は滾っていて、堪能したい気持ちはあったが、腕のなかで光希が眠っていることに、満足もしていた。
心を焦がし、嫉妬の痛みを伴い、それでいて蕩けそうなほど甘いものが、心と躰と魂をしめつける。光希によってもたらされる、純粋な輝き、生きる喜び、そのすべてが愛なのだ。
雨はもうやんでいて、雲間からのぞく星明かりが、疲労困憊した憲兵たちを優しく照らした。
ナディアとサンジャルは書類仕事のために本部に戻っていったが、ハイラートは治療のために療養所へ、ヤシュムは彼につき添い、サリヴァンとジュリアスは帰路についた。
雨あがりの、露草と土の匂いがする。
青い星が高く昇り、樹影は華麗で、星光を浴びた
「お帰りなさい!」
「ただいま、光希」
両腕を広げると、光希は駆け寄ってきたものの、飛びこんではこなかった。腕に控えめに触れながら、素早くジュリアスの全身に目を走らせた。
「怪我はない?」
「ありませんよ」
「本当? 血の匂いがするよ」
深刻げに光希がいうと、ジュリアスも己の腕の匂いを嗅いで、思わず眉をひそめた。
「すみません、屑鉄場に長時間いたから、匂いが移ってしまったようです」
「怪我はしていない?」
「していません」
誇張ではなく殆ど無傷だった。手の甲に小さな擦り傷があるくらいだ。
光希もようやく肩から力を抜くと、安心したように笑みを浮かべた。
「そっか、良かった。ジュリが無事で……」
「今度こそ終わりました。今朝は心配させてしまい、すみませんでした」
「ううん、無事に帰ってきてくれて良かった。大変だったよね、本当にお疲れ様」
ジュリアスは光希の髪を優しく撫でた。ありふれた
「……際どい瞬間もありましたが、光希に救われました。私を呼んでくれて、どうもありがとう」
実際、危ないところだった。常人より高い
「うん……助けになれたなら、良かった」
光希がほほえむ。優しい夜のような瞳に涙がにじんで、星のように煌めいて光る。
「実は神殿前でジュリと別れたあと、クロガネ隊の皆で作った燭台を、全部祭壇前に運んでもらったんだ。それからずっと祈っていたんだ」
ジュリアスは光希の目元を親指で優しくすり、身を屈めると額をあわせた。
「ええ……光希の声が聴こえました。どこにいようとも、貴方はいつだって私を照らしてくれる」
光希はジュリアスの手のうえに、己の手を重ねた。
「ほらね、いったでしょ。いつも傍にいるって……っ」
笑おうとして唇の端が歪んだ。ぽろっと涙がこぼれ落ちる。
「心配したよ、本当に……無事で良かった……っ」
光希は額にかかった金髪をかきあげると、額の青い宝石にくちづけた。
その瞬間、とてつもなく大きな感情が、ジュリアスの心と躰と魂をかけめぐった。
「ああ、光希……っ」
両腕できつく抱きしめると、光希も強い力でしがみついてきた。自分よりひとまわりも小さい柔らかな存在を、途方もなく大きく感じる。彼の示してくれる愛は、無私無欲の宝物にほかならない。
「すみません、思いきり抱きしめてしまいました」
ふと気がついて腕の力を緩めると、光希は笑った。
「平気だよ」
涙を拭きながら笑う光希を見て、ジュリアスも微笑を浮かべた。
「匂いを落としてきます。すぐに戻るので、寝室で待っていてください」
「うん」
果たして意味を理解しているのか、光希は穏やかで無垢な笑みを浮かべた。
ジュリアスの方は、欲望が目に顕れている自覚があったが、余計なことは口にせず、螺旋階段をのぼっていく光希を見送った。
それからまっすぐ浴室に向かうと、液状石鹸で髪から躰から全身を素早く洗い流した。早く光希の待つ寝室に戻りたい。しかし錆鉄の匂いはなかなかとれず、二回念入りに洗い流して、ようやくとれた。
髪を拭きながら寝室に戻ると、寝台に腰かけていた光希が顔をあげた。真面目な顔でジュリアスの正面にやってくると、
「服を脱いで」
「喜んで」
ジュリアスが躊躇いなく全て脱ぎさると、光希はちょっと目を見張ったが、看護者めいた慎重な手つきで、肩や腕を確かめ始めた。
「……どこも怪我をしていないでしょう?」
ひとりで待っている間に、不安にさせてしまったらしい。安心させるように笑みかけながら、ジュリアスの意識は、血潮を滾らせている股間に向かっていた。
「うん……良かった。ジュリの躰は綺麗だね」
賛嘆の眼差しが、ジュリアスの全身に注がれる。本人は無意識なのだろうが、ジュリアスは劣情を刺激されてたまらなかった。
「もういいですか?」
返事を待たずに、ジュリアスは光希の躰を抱きあげると、寝台におろすと同時に覆いかぶさった。
「光希……」
ジュリアスは光希の顔を、吐息が触れるほど近くから覗きこんだ。そして餓えたように激しく唇を奪った。
「ん……っ」
性急さに驚いたのか、光希は一瞬躰を強張らせたが、すぐに力を抜いた。
唇を割って舌を挿しいれると、鋭い官能の矢がその舌から全身を貫いて、下腹部を刺激した。
熱く脈打つ下肢を押しつけると、光希は官能的な呻きを漏らした。彼にしては積極的に、ジュリアスの頸に両腕を回して、唇を吸い返してくる。えもいわれぬ異国の甘く濃い美酒を煽ったように、脳髄がしびれる。或いは口写しに与えられた媚薬かもしれない。
「はぁ、あ、ジュリ……ッ」
舌を貫く火酒が咽を通り、臓腑を焦がす。血脈を伝って全身に駆け巡り、ジュリアスの躰を
くちびるを重ねながら、光希の寝室着を奪いとり、寝台のしたに放りすてた。
顔を離すと、今度はジュリアスが賛嘆をこめた目で、象牙色の肢体を嘗め回した。
「綺麗です。とても……」
これほど美しく柔らかい躰を、光希が厭う理由がまるで判らない。彼はどこを見ても完璧だ。
「……ありがとう、ジュリのおかだよ。発疹が治ったんだ」
光希は頬を薄紅色に染めて、潤んだ目でほほえんだ。
「確かめさせて」
まろやかな肢体をあますところなく、丁寧に探っていった。頬から首筋、鎖骨、丸い肩、腕、背中、ふくらはぎ……どこもかしこも柔らかい。剣の柄が手になじむように、光希の躰はジュリアスになじむ。
「……綺麗に治りましたね。どこもかしこも、まろやかな象牙色の肌です」
賛美と愛をこめて躰に触れながら、ゆるやかに起伏する胸に視線を奪われる。肉づきの良い胸を揉みしだくと、光希は背をしならせた。
「はぁ、ん……っ」
さしだされた胸にジュリアスは顔を寄せて、紅い突起に舌を伸ばした。そっと突くと、電流が走ったみたいにびくびくっと震える。円を描くように舌を這わせてから、つんと尖った乳首を口に含んだ。
「ふぁっ……ん……っ」
媚薬のような嬌声を聞きながら、柘榴色の肉粒を指でこねて、摘まみ、そっと摩る。代わる代わる指と舌で愛撫し、そそり
「あぁっ、ん……ぁ……っ」
胸への愛撫に、光希も
「ジュリ……」
肘で上体を支えながら、光希が目で抗議する。
「……よく見せて」
片脚をもちあげると、
「ちょっ、そんなところ、発疹はなかったよ」
「……そう?」
指の合間に舌をはわせながら見つめると、光希は悩ましげな顔で見つめ返してきた。
「……舐めないで」
聴こえないふりをして指を口に含むと、光希は反射的に脚を引こうとした。逃げようとする脚を捕まえて、ジュリアスは指を舐めしゃぶる。
「っ、ん……汚いよ……っ」
羞恥に濡れた声はしかし、
「光希に、汚いところなんてありません。私は貴方の躰なら、どこにでもくちづけられる……」
囁いた通りに、ジュリアスはくちびるで愛撫した。光希は何度も逃げようとしたが、そのたびに捕まえて、腰を引き戻し、十本の指を丹念に舐めしゃぶった。
「もぅ、舐めないで……っ」
しまいには、潤んだ黒い瞳が、哀願するようにジュリアスを見つめてきた。
「光希……」
股間は痛いほど張り詰めていたが、ジュリアスはまだ物足りなかった。もっと舌とくちびるで彼を愛したい――白く丸い尻をぐっと掴んで押し開いた。
「ここも柔らかくしないと……」
ひくつく後孔に息を吹きかけると、光希は小鳥のように震えた。動けぬよう太腿を両腕で押さえこみ、えもいわれぬ甘い香りがする場所に顔を沈める。
「ぁん……あ、ぁ……っ」
舌で探ると、香辛料をまぶした林檎のような、甘い、陶酔を誘う味わいがする。
陰茎は慈悲を求めて硬くなり、かつてないほど
「も、いいよ、ジュリ……ぁっ」
肘をついて逃げようとする肢体を、ジュリアスはすぐに寝台の中央に引き戻した。
「今夜は長く愛させて……痛めないように、たっぷり舐めて、ほぐさないと」
秘孔にじゅっと吸いついてから、ぞろりと
「あぁッ、や……っ」
声を聴いているだけで、睾丸がうずいた。
むしゃぶりつきたくなるのを堪えて、
「や……ぁあぅっ」
そのまま口に含んで、舐めしゃぶると、目の前で陰茎がひくひくと震えた。涙をこぼしている先端を、親指で優しく摩ってやると、光希は小さな悲鳴をあげた。
「もぅ、ジュリ……っ」
切羽詰まった声で窮状を訴えてくる。
焦らすつもりはないのだが、ジュリアスは光希の全身を舐めて、溶かしてしまいたかった。もっと夢中になってほしい――ジュリアスのことしか考えられないほど――彼にも強くジュリアスを求めてほしい。
愛おしい勃起を、舌をからめて舐めしゃぶる。唇も、指も、汗も、光希の全てが愛おしい。食べてしまいたいほど。
焦がれるような熱情は殆ど堰を切って溢れる寸前だったが、光希の声がすすり泣きに変わると、少し引いた。
「……?」
涙に濡れた目が、動きを止めたジュリアスを、問いかけるように見つめ返してくる。
「……無理をさせていますか?」
「……? どういう……?」
彼はジュリアスの聖域だ。だが同時に、贄なのかもしれないと疑問に思う。誰よりも愛している。世界の誰よりも――己の命よりも大切な存在だ。しかし貪るほど激しいこの愛は、はたして光希にとって幸せなのだろうか?
「私が求めすぎているなら……」
やめるという選択肢はないが、かろうじて手加減はできる。光希の表情を注意深く見守っていると、白い手が伸ばされ、脈打つ猛りに触れた。
「っ、光希……」
感じやすい裏側を優しく指で愛撫されて、ジュリアスは低く呻いた。
「無理していないよ。僕もジュリがほしい……」
頬を染めて、光希が囁いた。
「本当に?」
ジュリアスは瞳を見つめて、訊ねた。
「ぅん……」
光希は視線をそらさずに頷いたが、すぐに照れて、ふぃっと視線をそらした。
その瞬間、ぞくりとした震えに、ジュリアスは全身を貫かれた。
心臓を鷲掴まれたような衝撃だった。自制心の欠片が砕け散り、一瞬にしてやわらかな躰を組み敷いていた。
「ぁっ!」
まろい尻を手で支えて、腰を持ちあげる。愛撫で潤みきったそこに熱い昂りを押し当てると、目をあわせながら挿入した。
「あぁぁんッ!」
奥まで刺さる一突きに、光希の喉から嬌声が迸る。
挿入しただけで達しそうになり、ジュリアスもまた、全身の筋肉を収縮させ、目をきつく閉じたまま静止した。
「あぁ……気持ちいい……」
えもいわれぬ陶酔感――蜂蜜を溶かしたような肌から、甘い匂いがたちのぼり、頭がくらくらする。
体重をかけすぎないよう気をつけて躰を倒すと、のけぞらせた白い喉にくちびるを寄せた。やんわりと
そのまま、ゆるやかに腰を遣い始めると、光希もあえかな声をあげながらしがみついてきた。
「あ、あ、あぁ……んっ」
くちびるを強引に奪い、舌を吸いあげて貪りながら、躰の
突きあげは次第に早くなり、奥深くまで貫く激しい律動を繰り返したので、光希は自分の躰を支えようとし、ジュリアスの胸に指先を伸ばし、頸をのけぞらせた。
「かわいい、光希……愛しています……」
ジュリアスはふたりの躰の間に手をすべらせ、熱を帯びた性器に触れた。先端を指で愛撫しながら、突きあげる。
「ふぁっ、ん、あ、あ、ぁ……ンッ」
光希が、高く快感の声をあげる。
緩急をつけて突きあげながら、その間もずっと性器を優しく愛撫した。媚肉がうねり、熱く蕩けていく。液状の絹に包まれているみたいに心地良い。
「はぁ、ああ、でちゃ、ぅッ」
いった傍から、びゅくびゅくと白い蜜が噴きあがり、ふたりの間を濡らした。
甘く締めつけられて、ジュリアスも低く呻いた。あまりの心地よさに達してしまいそうになるが、光希の絶頂を優しく導くことに集中した。
「……気持ちいい?」
「ぅん……」
紅潮した顔で、光希が頷いた。
その蕩けた顔と声に、ジュリアスも暖かな官能に浸された。甘美な躰の虜になって、本能の赴くままに、腰を遣い始めた。
「あ、あっ、ぁんっ!」
律動は速く激しかったが、一定のリズムを刻んでいたので、光希もその動きにあわせて腰をくねらせた。
「はぁ、光希、愛している……ッ」
くちびるを奪い、舌を搦めながら、やわらかな躰の一番やわらかいところを何度も突きあげる。そのまま、一番深いところで果てた。
「ぁつい……っ」
小さく喘ぐ光希を抱きすくめて、腰をぴったりとつけたまま、一滴残らず飛沫をなかに注ぎこんだ。
吐精のあと、ほんの数秒ほど無力でいたが、楔は抜かなかった。
体力のない光希は、早くも躰を弛緩させているが、ジュリアスは動きを再開した。ぬぷっ……淫靡な水音をたてながら、ゆっくりと引いて……また押し入る。
「ん、待って……」
弱弱しい訴えを無視して、ぐぐっと腰をせりだした。
「あぁあぁッ!」
一気に奥まで突き入り、光希は大きくのけぞった。ジュリアスの胸に手をついて、押しのけようとするが、哀れにか弱く、今にも
「光希……っ」
象牙色の肢体を組み敷いて、両手が沈むほど強く腰を掴み、媚肉を穿つ。じゅぷっ、じゅぷっ、粘着な水音を天蓋に響かせながら揺さぶり続ける。
「あ、あっ、んぁッ」
甘い嬌声をあげるくちびるは、ふっくらと紅く、濡れている。
見ているとまた欲しくなり、奪うようにくちびるを重ねた。息苦しさに光希が顔をそむけようとすると、衝動的に頬を掴み、逃げられないうようにしてから、甘く深く貪った。
「ん、ぅ、んぅっ……」
何度も舌を吸いあげて、甘い唾液を飲みこんでから顔を離した。ふたりの間に淫靡な銀糸が垂れる。ぷつりと舌できりながら、左脚を肩に乗せると、光希はふさふさの眉を悩ましげに寄せた。
「僕もう、息が……動けなぃ……っ」
「私が動きます。ゆっくり挿れるから……いい?」
脚頸にくちづけながら囁くと、光希は少し躊躇い、小さく頷いた。
「ありがとう。そのまま、力を抜いていて……」
宣言した通りに、ゆっくり挿入すると、光希は濡れた目で見つめてきた。熟れた孔が、ジュリアスをきつく締めつけてくる。一気に挿入したくなるが、自制し、脈打つ楔を慎重に奥まで沈めた。
「あぁ……っ」
深く刺さったあと、はずみで入り口まで戻り……再び奥まで突き刺した。何度も、何度も、何度も、繰り返すうちに、自然と速度はあがっていく。
「やぁっ、あ、ンッ!」
剛直を咥えこむ後孔は、粘着な水音を撥ねさせながら、波飛沫のように白く泡立っている。
それを見てまた躰が熱くなり、いっそう奥まで侵入した。繰り返し、何度も、何度も、突きあげる。
「あぁ、またっ……いく、ぅ~っ……」
光希は尻を浮かせ、無意識に艶かしく身悶えた。きゅうぅっと甘く締めつけられて、ジュリアスもふたたび極めた。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ」
荒い呼吸を繰り返す光希の髪を撫で、秀でた額にくちびるを押しあてる。そのまま愛を囁いた。
「好きです、光希。愛しています……」
「……僕も好きだよ」
喉の奥で、ジュリアスは低く笑った。十回に一回くらいは、光希も言葉を返してくれる。
ふたりの躰が
「……光希、眠い?」
えもいわれぬ黒い瞳が、快楽に蕩けている。
「ん……」
ジュリアスはまだ熱が引けていないが、光希は半睡状態で、今にも眠ってしまいそうだ。彼の意識が落ちてしまう前に、ひとつだけ、どうしても訊きたいことがあった。
「……
あたたかい肌にくちびるをつけたまま囁いた。なかなか返事がないので、顔を覗きこむと、光希はとろんとした目で見つめ返してきた。
「……ううん。ジュリの夢なら、たくさん見たよ」
「どんな夢?」
黒い瞳に、面映ゆそうな、不思議な光が灯った。
「それは……最初は怖い夢だと思っても、途中からジュリがでてきて、塗り替えてくれるんだ。つまり……今、夢と同じことをしていたかな」
ジュリアスはクックッと笑いながら、
「それを聞いて安心しました。苦労して失踪怪異を解決した甲斐がありました」
「……」
静かな寝息が聞こえてきて、ジュリアスは満ち足りた心地で微笑した。
「お休みなさい、光希」
まだ身の
心を焦がし、嫉妬の痛みを伴い、それでいて蕩けそうなほど甘いものが、心と躰と魂をしめつける。光希によってもたらされる、純粋な輝き、生きる喜び、そのすべてが愛なのだ。