超B(L)級 ゾンBL - 君が美味しそう…これって○○? -
2章:エナジー・ドリンク - 9 -
一〇月三一日。六三日目。
昨日の午前中に要塞を出ていったきり、レオが戻ってこない。
安否が判らず心配していた広海だが、昼過ぎにこれから戻ると連絡が入り、胸を撫でおろした。
緊張が緩んだせいか、少し横になるつもりが、思っていたよりも長く午睡を貪ってしまった。
目を醒ました時、外はもう薄暗かった。
突然、重たい曇天が真昼のように閃いた。鈎裂き状に稲妻が疾った一刹那、世紀末のような雷鳴が轟いた。
「ぅわ……ッ」
腹に響く重低音が、六三階の窓を振動させる。
広海は、憑かれたように窓辺に寄った。バルコニーにでた途端に突風に吹かれ、カーテンが舞いあがった。
よせばいいのに、半ば怖いもの見たさで、手すりに掴まって渋谷の街を覗きこんだ。
おお……これほどハロウィンに相応しい光景はないだろう。
禍々しい雷雲が唸りをあげるなか、半壊した街を、コ スプレでもなんでもない、紛うなき本物のゾンビが彷徨っているのだから。
まるで世界の最後の審判だ。
無人の荒廃した街を、荒れ狂う嵐が襲う様は、この世の滅亡を見ているようだった。
稲妻の交響曲に魅入っていると、玄関から物音が聴こえた。
ぱっと振り向いた広海は、急いで部屋に入り、レオを見るなり笑顔になった。
「お帰りなさい! 良かったぁ、無事で……心配しましたよ」
「ただいま。悪ィ、思ったより時間喰っちまった」
レオはくたびれたように言った。背負っていたバックパックをおろして、ガンベルトも外し、肩を揉んでいる。
「どこまで行ってきたんですか?」
「九段下の旧避難所だよ。そしたら、でっけー巣があって、放置しとくのもあれだし、ぶっ壊してきた。一晩かかったわ」
「マジッスか。一人で大丈夫でした?」
「まぁな。焼夷弾持っていって正解だった。苦労した割に、何も残ってなかったな。あんま期待してなかったけど……くたびれたわ」
ぐったりとソファーに沈みこんだレオは、広海の手を引っ張り、脚の間に座らせた。素早く腕を回して、ぎゅっと後ろから抱きしめる。
「っ、レオ」
すぐに立ちあがろうとするが、腹に腕を回された。腕のなかに閉じこめられて、髪を梳かれ、頬を撫でられる。欲しいとおねだりしているのだ。
「ロミ……」
耳元で、掠れた声に囁かれると、広海は顔が熱くなるのを感じた。煙草と硝煙の匂い、彼自身が纏う蠱惑的な香りが漂う。
平静を装って視線をあわせると、欲望に気づかないふりをしてほほえんだ。
「珈琲でも淹れましょうか?」
「いい。それより……飲ませて」
怖いくらい真剣な口調だった。
危険なほど明るい金緑の瞳に、飢餓の色が浮かんでいる気がする。
これは押し倒されるパターンでは……身構える広海を抱き寄せ、レオは素早く唇を奪った。
「んっ」
抗う間もなく、下唇を喰まれて、引っ張られる。強引に唇を開かされ、キスは忽ち深くなった。
思わず広海はレオにしがみついた。肩を掴んで、引き離すべきか迷っているうちに、舌を搦め捕られてしまった。いつもより余裕がなくて強引だ。少し慄いていると、骨ばった手がシャツのなかに潜りこみ、素肌に触れた。
「揉まないでっ」
またしても腹肉を揉みしだかれ、広海は屹となった。何遍言っても、レオは人の腹を揉むことをやめようとしないのだ。
「ロミ、かわいい……」
かぁっと燃えるように顔が熱くなる、広海は視線を泳がせた。瞼や頬、こめかみにちゅっちゅっとキスの雨が降る。恋人のじゃれあいみたいで恥ずかしくて、
「もぉ、おしまい!」
逃げようとしたら、ジーパンに手がかかり、器用に釦をはずされた。
「レオっ」
腕を突きだして彼を遠ざけようとするが、レオは顔をさげて、広海の頸筋を啄んだ。鎖骨までおりていき、くぼみに唇を押し当てながら、尻をぎゅっと掴む。
「待って……そこはだめ」
「ん」
怯えたように広海が言うと、レオは素直に腰から手を離した。かと思えば、再びシャツのなかへ手をもぐらせ、妖しい手つきで胸をまさぐり始めた。
「そこもだめ……っ」
「だめばっかだな。どこならいーんだよ?」
鎖骨に唇を押し当てたまま、レオはくすっと笑った。
「うぅ……キスだけなら」
「キスね」
レオは微笑すると、シャツをたくしあげた。無意識に胸をそらす広海の腰をかきいだき、顔を伏せる。熱い吐息が肌に触れた。
「違う! キスだけ」
「キスだよ」
低く囁いて、震える突起を唇で挟んだ。
「ぁっ」
こみあげる感覚に背筋がぞくりとした。一体この躰はどうなっているのだろう?
「や……っ……ん、ぁ……っ」
胸は熱く膨らみ、尖った乳首からじんわりと蜜が滲み始めた。骨ばった指でくにくにと刺激されると、さらに溢れでるのが判った。
「あぁっ」
白い蜜が飛び散り、レオの唇にかかると、彼は恍惚の吐息を漏らした。退廃的な熱に翳った瞳で広海を見つめたまま、唇の端に付着したそれを、艶めかしく舌で舐めとる。
ぞくっとした震えが、広海の全身を貫いた。
「ぁ……吸わないで」
「なんで? ……飲ませろよ」
レオは欲望の滲んだ目で、ぷっくりした双つの乳首を見た。視線がそこに落ちただけで、体温が跳ねあがった。やめさせようと肩を掴んだが、強引にくちに含まれた。
「んぁっ」
藻掻こうとする腕をきつく掴まれ、好き勝手に舐めしゃぶられ、甘噛みされる。
「あっま……ロミすげーな……っ」
陶酔したようにレオは烈しく舌を搦めて、広海は息も絶え絶えに喘いだ。
左をたっぷり吸われ、ようやく解放されたと思えば今度は右を吸われ、射精感にも似た悦楽が疾り抜けて、溢れでる正体不明の白蜜を吸われてしまう。
「んぁっ……も、吸わないでぇ……っ」
朱く膨らんだ突起を舌と唇でめちゃくちゃにされて、恥ずかしいのに気持ちよくて、腰が揺れるのを止められない。
胸も股間も熱く疼いて、淫らな奔騰に翻弄される。無意識に大腿を擦りあわせていると、服の上から後孔を親指でぐっと押された。
「んっ⁇」
広海は、ふとこみあげた排泄の感覚に戦慄した。
粗相を恐れて渾身の力でレオを突き放すと、レオは驚いたように目を瞠り、すぐにまた広海の腕を掴んでソファーに押し倒した。
「離してっ」
「暴れんな、落ちる」
「トイレ! やばい、漏れそうっ」
広海は切羽詰まった声で訴えた。が、レオは奇妙な顔つきになった。
「トイレ? ……ロミさ、最後にトイレでしたのいつか、覚えてる?」
「えっ?」
広海は動きを止めた。
……そう言われると、ここしばらく、排泄した記憶がない。便秘かと思っているうちに忘れていたが、長すぎやしないだろうか?
「腹痛ぇのかよ?」
「いや……判んないけど、なんかむずむずして……とにかくトイレ!」
広海は腕を使って再び暴れ始めた。レオは難なく広海を押さえつけると、ひっくり返して下着ごとジーパンを脱がした。
「ふぎゃっ⁉」
「見せてみ」
「はぁッ⁉ やめろッ!」
本気で怒鳴ったが、レオは動じない。あらぬところを、じっくり見られてしまう。じゅくじゅくとした熱が尻に集まり、広海は真っ赤になった。確かに、排泄衝動とは違う気もするが、判らない。頭の中で疑問符が飛び交い、まともに考えられない。
「うぅ~っ……ンなとこ、見るなよぉ……っ」
レオは孔の縁を指でなぞった。親指をぐっと押しこみ、なかを探られた瞬間、なにかが溢れる感触がした。
「ひっ」
広海は恐慌に陥った。絶望と共に股間を見ると、想像とは違う、無色透明な不定形状の物体が、大腿を滴り落ちていた。
「何、これ……っ」
質問には答えず、レオは指をさらにもぐらせ、ぐるりと撹拌するように動かした。
「やばっ! でちゃうっ」
「だせよ」
「うぅぅッ、だめだからぁっ、だしちゃいけないものだからぁっ」
死にたくなるほどの羞恥と絶望に駆られて、えぐえぐと泣く広海の尻を、レオは容赦なく両手で割り開いた。
「つーか、舐めるし」
「はあぁッ⁉ ちょっと何いっているか……待っ、うぎゃぁ――ッ‼」
れろ……っと入り口を舐められ、広海は絶叫した。尻を振って逃げようと試みるが、がっしり掴まれて逃げられない。レオは、美しい顔を尻に沈めて、あまつさえ舌を押しこんできた。
「あぁッ⁉」
救いを求めて伸ばした手が、虚しく宙を掻く。レオは逃げようとする広海を捕まえて、餓えた獣のようにむしゃぶりついた。
「嘘ッ、吸わないでっ、汚いっ」
広海は必死に叫んだ。
そんなことはお構いなしに、レオは音を立てて、正体不明の液体を啜りあげる。
「ン……汚くねーよ、エナジー・ドリンクだろ、これ。元気でてきたし」
そんなわけあるか――罵倒が心に閃くが、躰の奥から堰を切ったように蜜が溢れでて、舌鼓めく水音を撥ね散らしながら啜られると、思考を粉々にされてしまう。
「うぁっ、やめろ! ……ひぅ……吸わないでくれぇっ」
初めての快感に怯えて、広海は震える肩を縮こませた。それでもレオはやめようとしない。尖らせた舌を剣のように突き刺し、頬をすぼめて吸飲しまくる。
「やだぁッ、んぁっ……ぁ……くふぅ、ん……っ」
こんなこと耐えられないと思いながら、広海は、淫らな愛撫をせがむように、妖しく身をくねらせていた。
さんざんしゃぶられた後、背中に、柔らかなキスが落とされた。ようやく終わり……ぐったり突っ伏していると、腕を引っ張られて、抱き起こされた。
「何っ?」
吃驚して汗ばんだ頸にしがみつくと、レオは熱い目で広海の顔を覗きこんだ。
「ベッドいこ……」
媚薬めいた声で囁かれ、広海は首をすくめた。淫らな予感に貫かれて、躰の芯がじゅんと濡れる。
このあとの展開が読めるのに、なぜか腕のなかでじっとしていた。恐怖と期待が綯い交ぜになったような心地でいたが、ベッドにおろされた途端に、恐怖に傾いた。
服を脱ぎ捨てたレオが、引き締まった躰で伸しかかってくる。
「ぁ……」
欲情した金緑の瞳に射抜かれて、今さら尻で後ずさりしてしまう。逃さないとばかりに両脚を掴まれ、問答無用に割り拡げられた。
「レオっ」
男として、これほど屈辱的な格好があるだろうか?
ショックを受けながら、後孔に触れられると、ひくんと疼いた。ぬかるんだ蕾は、たやすく指を飲みこんで奥へと誘う。
「とろとろ……美味そ……」
レオは独り言のように囁くと、指を抜いた。屈みこんで、股間に顔を埋めようとする。
「だめだってば……っ」
また吸われてしまう。レオの頭を両手で押しのけようとするが、ぴったりと唇を押し当てられてしまった。
「やだ! ……えっち! レオのエッチィ!」
「は? ロミのお尻がエッチなんだろ、どんどん溢れてくる……舌が溺れちゃいそうなんだけど」
熱に浮かされたような夢中さで、レオは、後孔を舌で烈しく穿ち始めた。
「やめて、お願い……っ」
泣いて懇願しても、レオはやめようとしない。飽かず、執拗に啜り続けている。
広海も拒絶をくちにしながら、次第に淫らな愛撫の虜になって、前後不覚に蕩かされ、艶めかしく喘ぎ、懇願して……忘我の境地を彷徨った。
「ふぁ……ぁ……レオ」
窓の向こうで、稲妻が燦めいている。
尻からも性器からも、とろりと蜜が溢れでて、雷光に照らされ淫靡な光を放つ。
滅びゆく世界から隔離されて、甘い香りが漂う部屋のなか、二人とも陶酔したようになって、貪り、貪られていた。
舌が抜けていく瞬間、ちゅぼ……っと水音が撥ねて、広海の全身は桃色に染まった。顔も胸も尻も色づいて、股間はかつてないほど熱っている。
レオは身を起こすと、広海の顔を覗きこんできた。
「……悪ィ、飛んでたわ。ロミ、ヘーキ?」
尻から溢れでたものが大腿にまで垂れてきて、その熱く濡れた感触に、広海はくしゃりと顔を歪めた。
「ふぅ、っく……俺っ、何? ……なんなのぉ……?」
瘧のように慄える背を、レオは宥めるように撫でた……が、深く息を吐きだすと、広海の両脚を掴んで肩にかつぎあげた。
尻が浮きあがり、広海は蒼白になった。
「待って、何する気」
「挿れる」
「無理ッ!」
脚をばたつかせると、レオは苛立ったように、広海の両脚をしっかり押さえこんだ。熱く猛った屹立を、尻のあわいに擦りつけてくる。
「こっちが無理だっつーの……諦めろ」
「無理ぃッ! 挿れんのだけは無理っ!」
「こんだけ濡れてりゃ入るだろ」
レオは広海の腰をさらに引き寄せ、ぐっと腰を押しだした。
「レオ! こんなことしたらもう、友達じゃいられなくなっちゃうよ!」
レオはフッと微笑すると、
「もうとっくに、おホモダチじゃん。気にすんな」
「気にするわぁぁ――ッ」
広海にしては威勢よく叫んだが、熱塊をそこに押し当てられると、ひゅっと息を飲んだ。
「お願い、やめて」
「力抜け」
「無理ぃ……っ」
レオは躰を倒すと、広海に覆いかぶさり、唇を塞いだ。舌を挿しいれ、優しく搦ませる。
「ん、ふぅっ……あぁ……っ」
唇を甘く貪りながら、秘めた隘路に、慎重にゆっくり、灼熱の肉塊をねじこんでいく。
ほどけた唇から銀糸が垂れて、潤んだ目で広海がレオを見つめると、ぱちゅんっと腰のぶつかる音がした。
「んぁッ」
「おら、挿入ったぞ」
レオは満足そうに笑った。
絶対に無理だと思ったが、蕩けきった尻は、剛直を奥まで喰みしめていた。
「ひ……っ」
逃げようとする躰を、レオは両手で掴んで容赦なくベッドの中央に戻すと、広海の頬をひと撫でしてから、緩やかな腰使いで、ゆっくりと揺さぶり始めた。
「ひぁ……っ……んぁッ」
充溢を喰んだ媚肉がうねり、とろりと蜜が溢れでる。
腰のぶつかる音は烈しさを増して、忽ち結合部は波飛沫のように白く泡立ち、ぱっちゅん、ぱっちゅん、信じられないほど淫靡な粘着音を響かせた。
「も、無理ぃ……っ」
啜り泣く広海を、美しい捕喰者が凝と見おろしている。
金緑に赫く虹彩の強さに、思わず顔をそむけると、頬を掴まれた。
「こっち見ろよ」
恐る恐る目をあわせた途端に、容赦のない律動が始まった。
「んぁッ‼」
狂おしいほど突きあげられる。
躰の深いところを灼熱の焔に撹拌され、舐めあげ、舐めおろし、獣のように犯される快楽に翻弄された。
「あぅッ、ぁ、んぁっ! 赦して……んんっ」
窮地を訴える唇を、強引に塞がれた。
悲鳴も、吐息も、喘ぎも唇に飲みこまれて、突きあげられながら、躰は燃えるように熱くなって、蜂蜜のように蕩けた。
「っ、ひぁッ」
敏感な痼りを淫らに擦りあげられ、広海は大きく仰け反った。開いた胸にレオは顔を伏せて、尖った先端をぢゅうっと吸いあげる。
「んぁッ! ――あぁ……ぁ~……っ」
全ての思考が消去されたように、視界が真っ白に燃えあがった。
夥しい量の精液が噴きあがり、白くて丸い脂肪質な腹に飛び散る。達した衝撃できつく喰み締めてしまい、レオも呻いた。
「っ、すっげ……締めつけんな……っ」
熱塊がぶるりと震えて、最奥に熱い飛沫をぶちまかれる。媚肉が孕んで、広海の全身は妖しく波打った。
はぁはぁ……と息を喘がせ、全身に汗と蜜を滴らせ、悦楽の余韻に浸る。
そのまましばらく無力でいたが、尻に埋められた楔が、硬度を保ったままであることに意識が向いた。許しを請うように見つめると、
「もぉ抜いて……んぁッ!」
とろとろと蜜をこぼす性器を、そっと握られた。
「……もっかい、シよ?」
美しい捕喰者が囁く。そんな。広海は力なく頸を振った。
「ぁ……無理だよ、も……ぅん……っ」
じゅぷっ……ぬぷっ……水音をたたせながら、上に下に扱かれ、揺さぶられ、熱の冷めやらぬ金緑の双眸に痴態を見られながら、殆ど透明の滾る精を涙のように散らした。
昨日の午前中に要塞を出ていったきり、レオが戻ってこない。
安否が判らず心配していた広海だが、昼過ぎにこれから戻ると連絡が入り、胸を撫でおろした。
緊張が緩んだせいか、少し横になるつもりが、思っていたよりも長く午睡を貪ってしまった。
目を醒ました時、外はもう薄暗かった。
突然、重たい曇天が真昼のように閃いた。鈎裂き状に稲妻が疾った一刹那、世紀末のような雷鳴が轟いた。
「ぅわ……ッ」
腹に響く重低音が、六三階の窓を振動させる。
広海は、憑かれたように窓辺に寄った。バルコニーにでた途端に突風に吹かれ、カーテンが舞いあがった。
よせばいいのに、半ば怖いもの見たさで、手すりに掴まって渋谷の街を覗きこんだ。
おお……これほどハロウィンに相応しい光景はないだろう。
禍々しい雷雲が唸りをあげるなか、半壊した街を、コ スプレでもなんでもない、紛うなき本物のゾンビが彷徨っているのだから。
まるで世界の最後の審判だ。
無人の荒廃した街を、荒れ狂う嵐が襲う様は、この世の滅亡を見ているようだった。
稲妻の交響曲に魅入っていると、玄関から物音が聴こえた。
ぱっと振り向いた広海は、急いで部屋に入り、レオを見るなり笑顔になった。
「お帰りなさい! 良かったぁ、無事で……心配しましたよ」
「ただいま。悪ィ、思ったより時間喰っちまった」
レオはくたびれたように言った。背負っていたバックパックをおろして、ガンベルトも外し、肩を揉んでいる。
「どこまで行ってきたんですか?」
「九段下の旧避難所だよ。そしたら、でっけー巣があって、放置しとくのもあれだし、ぶっ壊してきた。一晩かかったわ」
「マジッスか。一人で大丈夫でした?」
「まぁな。焼夷弾持っていって正解だった。苦労した割に、何も残ってなかったな。あんま期待してなかったけど……くたびれたわ」
ぐったりとソファーに沈みこんだレオは、広海の手を引っ張り、脚の間に座らせた。素早く腕を回して、ぎゅっと後ろから抱きしめる。
「っ、レオ」
すぐに立ちあがろうとするが、腹に腕を回された。腕のなかに閉じこめられて、髪を梳かれ、頬を撫でられる。欲しいとおねだりしているのだ。
「ロミ……」
耳元で、掠れた声に囁かれると、広海は顔が熱くなるのを感じた。煙草と硝煙の匂い、彼自身が纏う蠱惑的な香りが漂う。
平静を装って視線をあわせると、欲望に気づかないふりをしてほほえんだ。
「珈琲でも淹れましょうか?」
「いい。それより……飲ませて」
怖いくらい真剣な口調だった。
危険なほど明るい金緑の瞳に、飢餓の色が浮かんでいる気がする。
これは押し倒されるパターンでは……身構える広海を抱き寄せ、レオは素早く唇を奪った。
「んっ」
抗う間もなく、下唇を喰まれて、引っ張られる。強引に唇を開かされ、キスは忽ち深くなった。
思わず広海はレオにしがみついた。肩を掴んで、引き離すべきか迷っているうちに、舌を搦め捕られてしまった。いつもより余裕がなくて強引だ。少し慄いていると、骨ばった手がシャツのなかに潜りこみ、素肌に触れた。
「揉まないでっ」
またしても腹肉を揉みしだかれ、広海は屹となった。何遍言っても、レオは人の腹を揉むことをやめようとしないのだ。
「ロミ、かわいい……」
かぁっと燃えるように顔が熱くなる、広海は視線を泳がせた。瞼や頬、こめかみにちゅっちゅっとキスの雨が降る。恋人のじゃれあいみたいで恥ずかしくて、
「もぉ、おしまい!」
逃げようとしたら、ジーパンに手がかかり、器用に釦をはずされた。
「レオっ」
腕を突きだして彼を遠ざけようとするが、レオは顔をさげて、広海の頸筋を啄んだ。鎖骨までおりていき、くぼみに唇を押し当てながら、尻をぎゅっと掴む。
「待って……そこはだめ」
「ん」
怯えたように広海が言うと、レオは素直に腰から手を離した。かと思えば、再びシャツのなかへ手をもぐらせ、妖しい手つきで胸をまさぐり始めた。
「そこもだめ……っ」
「だめばっかだな。どこならいーんだよ?」
鎖骨に唇を押し当てたまま、レオはくすっと笑った。
「うぅ……キスだけなら」
「キスね」
レオは微笑すると、シャツをたくしあげた。無意識に胸をそらす広海の腰をかきいだき、顔を伏せる。熱い吐息が肌に触れた。
「違う! キスだけ」
「キスだよ」
低く囁いて、震える突起を唇で挟んだ。
「ぁっ」
こみあげる感覚に背筋がぞくりとした。一体この躰はどうなっているのだろう?
「や……っ……ん、ぁ……っ」
胸は熱く膨らみ、尖った乳首からじんわりと蜜が滲み始めた。骨ばった指でくにくにと刺激されると、さらに溢れでるのが判った。
「あぁっ」
白い蜜が飛び散り、レオの唇にかかると、彼は恍惚の吐息を漏らした。退廃的な熱に翳った瞳で広海を見つめたまま、唇の端に付着したそれを、艶めかしく舌で舐めとる。
ぞくっとした震えが、広海の全身を貫いた。
「ぁ……吸わないで」
「なんで? ……飲ませろよ」
レオは欲望の滲んだ目で、ぷっくりした双つの乳首を見た。視線がそこに落ちただけで、体温が跳ねあがった。やめさせようと肩を掴んだが、強引にくちに含まれた。
「んぁっ」
藻掻こうとする腕をきつく掴まれ、好き勝手に舐めしゃぶられ、甘噛みされる。
「あっま……ロミすげーな……っ」
陶酔したようにレオは烈しく舌を搦めて、広海は息も絶え絶えに喘いだ。
左をたっぷり吸われ、ようやく解放されたと思えば今度は右を吸われ、射精感にも似た悦楽が疾り抜けて、溢れでる正体不明の白蜜を吸われてしまう。
「んぁっ……も、吸わないでぇ……っ」
朱く膨らんだ突起を舌と唇でめちゃくちゃにされて、恥ずかしいのに気持ちよくて、腰が揺れるのを止められない。
胸も股間も熱く疼いて、淫らな奔騰に翻弄される。無意識に大腿を擦りあわせていると、服の上から後孔を親指でぐっと押された。
「んっ⁇」
広海は、ふとこみあげた排泄の感覚に戦慄した。
粗相を恐れて渾身の力でレオを突き放すと、レオは驚いたように目を瞠り、すぐにまた広海の腕を掴んでソファーに押し倒した。
「離してっ」
「暴れんな、落ちる」
「トイレ! やばい、漏れそうっ」
広海は切羽詰まった声で訴えた。が、レオは奇妙な顔つきになった。
「トイレ? ……ロミさ、最後にトイレでしたのいつか、覚えてる?」
「えっ?」
広海は動きを止めた。
……そう言われると、ここしばらく、排泄した記憶がない。便秘かと思っているうちに忘れていたが、長すぎやしないだろうか?
「腹痛ぇのかよ?」
「いや……判んないけど、なんかむずむずして……とにかくトイレ!」
広海は腕を使って再び暴れ始めた。レオは難なく広海を押さえつけると、ひっくり返して下着ごとジーパンを脱がした。
「ふぎゃっ⁉」
「見せてみ」
「はぁッ⁉ やめろッ!」
本気で怒鳴ったが、レオは動じない。あらぬところを、じっくり見られてしまう。じゅくじゅくとした熱が尻に集まり、広海は真っ赤になった。確かに、排泄衝動とは違う気もするが、判らない。頭の中で疑問符が飛び交い、まともに考えられない。
「うぅ~っ……ンなとこ、見るなよぉ……っ」
レオは孔の縁を指でなぞった。親指をぐっと押しこみ、なかを探られた瞬間、なにかが溢れる感触がした。
「ひっ」
広海は恐慌に陥った。絶望と共に股間を見ると、想像とは違う、無色透明な不定形状の物体が、大腿を滴り落ちていた。
「何、これ……っ」
質問には答えず、レオは指をさらにもぐらせ、ぐるりと撹拌するように動かした。
「やばっ! でちゃうっ」
「だせよ」
「うぅぅッ、だめだからぁっ、だしちゃいけないものだからぁっ」
死にたくなるほどの羞恥と絶望に駆られて、えぐえぐと泣く広海の尻を、レオは容赦なく両手で割り開いた。
「つーか、舐めるし」
「はあぁッ⁉ ちょっと何いっているか……待っ、うぎゃぁ――ッ‼」
れろ……っと入り口を舐められ、広海は絶叫した。尻を振って逃げようと試みるが、がっしり掴まれて逃げられない。レオは、美しい顔を尻に沈めて、あまつさえ舌を押しこんできた。
「あぁッ⁉」
救いを求めて伸ばした手が、虚しく宙を掻く。レオは逃げようとする広海を捕まえて、餓えた獣のようにむしゃぶりついた。
「嘘ッ、吸わないでっ、汚いっ」
広海は必死に叫んだ。
そんなことはお構いなしに、レオは音を立てて、正体不明の液体を啜りあげる。
「ン……汚くねーよ、エナジー・ドリンクだろ、これ。元気でてきたし」
そんなわけあるか――罵倒が心に閃くが、躰の奥から堰を切ったように蜜が溢れでて、舌鼓めく水音を撥ね散らしながら啜られると、思考を粉々にされてしまう。
「うぁっ、やめろ! ……ひぅ……吸わないでくれぇっ」
初めての快感に怯えて、広海は震える肩を縮こませた。それでもレオはやめようとしない。尖らせた舌を剣のように突き刺し、頬をすぼめて吸飲しまくる。
「やだぁッ、んぁっ……ぁ……くふぅ、ん……っ」
こんなこと耐えられないと思いながら、広海は、淫らな愛撫をせがむように、妖しく身をくねらせていた。
さんざんしゃぶられた後、背中に、柔らかなキスが落とされた。ようやく終わり……ぐったり突っ伏していると、腕を引っ張られて、抱き起こされた。
「何っ?」
吃驚して汗ばんだ頸にしがみつくと、レオは熱い目で広海の顔を覗きこんだ。
「ベッドいこ……」
媚薬めいた声で囁かれ、広海は首をすくめた。淫らな予感に貫かれて、躰の芯がじゅんと濡れる。
このあとの展開が読めるのに、なぜか腕のなかでじっとしていた。恐怖と期待が綯い交ぜになったような心地でいたが、ベッドにおろされた途端に、恐怖に傾いた。
服を脱ぎ捨てたレオが、引き締まった躰で伸しかかってくる。
「ぁ……」
欲情した金緑の瞳に射抜かれて、今さら尻で後ずさりしてしまう。逃さないとばかりに両脚を掴まれ、問答無用に割り拡げられた。
「レオっ」
男として、これほど屈辱的な格好があるだろうか?
ショックを受けながら、後孔に触れられると、ひくんと疼いた。ぬかるんだ蕾は、たやすく指を飲みこんで奥へと誘う。
「とろとろ……美味そ……」
レオは独り言のように囁くと、指を抜いた。屈みこんで、股間に顔を埋めようとする。
「だめだってば……っ」
また吸われてしまう。レオの頭を両手で押しのけようとするが、ぴったりと唇を押し当てられてしまった。
「やだ! ……えっち! レオのエッチィ!」
「は? ロミのお尻がエッチなんだろ、どんどん溢れてくる……舌が溺れちゃいそうなんだけど」
熱に浮かされたような夢中さで、レオは、後孔を舌で烈しく穿ち始めた。
「やめて、お願い……っ」
泣いて懇願しても、レオはやめようとしない。飽かず、執拗に啜り続けている。
広海も拒絶をくちにしながら、次第に淫らな愛撫の虜になって、前後不覚に蕩かされ、艶めかしく喘ぎ、懇願して……忘我の境地を彷徨った。
「ふぁ……ぁ……レオ」
窓の向こうで、稲妻が燦めいている。
尻からも性器からも、とろりと蜜が溢れでて、雷光に照らされ淫靡な光を放つ。
滅びゆく世界から隔離されて、甘い香りが漂う部屋のなか、二人とも陶酔したようになって、貪り、貪られていた。
舌が抜けていく瞬間、ちゅぼ……っと水音が撥ねて、広海の全身は桃色に染まった。顔も胸も尻も色づいて、股間はかつてないほど熱っている。
レオは身を起こすと、広海の顔を覗きこんできた。
「……悪ィ、飛んでたわ。ロミ、ヘーキ?」
尻から溢れでたものが大腿にまで垂れてきて、その熱く濡れた感触に、広海はくしゃりと顔を歪めた。
「ふぅ、っく……俺っ、何? ……なんなのぉ……?」
瘧のように慄える背を、レオは宥めるように撫でた……が、深く息を吐きだすと、広海の両脚を掴んで肩にかつぎあげた。
尻が浮きあがり、広海は蒼白になった。
「待って、何する気」
「挿れる」
「無理ッ!」
脚をばたつかせると、レオは苛立ったように、広海の両脚をしっかり押さえこんだ。熱く猛った屹立を、尻のあわいに擦りつけてくる。
「こっちが無理だっつーの……諦めろ」
「無理ぃッ! 挿れんのだけは無理っ!」
「こんだけ濡れてりゃ入るだろ」
レオは広海の腰をさらに引き寄せ、ぐっと腰を押しだした。
「レオ! こんなことしたらもう、友達じゃいられなくなっちゃうよ!」
レオはフッと微笑すると、
「もうとっくに、おホモダチじゃん。気にすんな」
「気にするわぁぁ――ッ」
広海にしては威勢よく叫んだが、熱塊をそこに押し当てられると、ひゅっと息を飲んだ。
「お願い、やめて」
「力抜け」
「無理ぃ……っ」
レオは躰を倒すと、広海に覆いかぶさり、唇を塞いだ。舌を挿しいれ、優しく搦ませる。
「ん、ふぅっ……あぁ……っ」
唇を甘く貪りながら、秘めた隘路に、慎重にゆっくり、灼熱の肉塊をねじこんでいく。
ほどけた唇から銀糸が垂れて、潤んだ目で広海がレオを見つめると、ぱちゅんっと腰のぶつかる音がした。
「んぁッ」
「おら、挿入ったぞ」
レオは満足そうに笑った。
絶対に無理だと思ったが、蕩けきった尻は、剛直を奥まで喰みしめていた。
「ひ……っ」
逃げようとする躰を、レオは両手で掴んで容赦なくベッドの中央に戻すと、広海の頬をひと撫でしてから、緩やかな腰使いで、ゆっくりと揺さぶり始めた。
「ひぁ……っ……んぁッ」
充溢を喰んだ媚肉がうねり、とろりと蜜が溢れでる。
腰のぶつかる音は烈しさを増して、忽ち結合部は波飛沫のように白く泡立ち、ぱっちゅん、ぱっちゅん、信じられないほど淫靡な粘着音を響かせた。
「も、無理ぃ……っ」
啜り泣く広海を、美しい捕喰者が凝と見おろしている。
金緑に赫く虹彩の強さに、思わず顔をそむけると、頬を掴まれた。
「こっち見ろよ」
恐る恐る目をあわせた途端に、容赦のない律動が始まった。
「んぁッ‼」
狂おしいほど突きあげられる。
躰の深いところを灼熱の焔に撹拌され、舐めあげ、舐めおろし、獣のように犯される快楽に翻弄された。
「あぅッ、ぁ、んぁっ! 赦して……んんっ」
窮地を訴える唇を、強引に塞がれた。
悲鳴も、吐息も、喘ぎも唇に飲みこまれて、突きあげられながら、躰は燃えるように熱くなって、蜂蜜のように蕩けた。
「っ、ひぁッ」
敏感な痼りを淫らに擦りあげられ、広海は大きく仰け反った。開いた胸にレオは顔を伏せて、尖った先端をぢゅうっと吸いあげる。
「んぁッ! ――あぁ……ぁ~……っ」
全ての思考が消去されたように、視界が真っ白に燃えあがった。
夥しい量の精液が噴きあがり、白くて丸い脂肪質な腹に飛び散る。達した衝撃できつく喰み締めてしまい、レオも呻いた。
「っ、すっげ……締めつけんな……っ」
熱塊がぶるりと震えて、最奥に熱い飛沫をぶちまかれる。媚肉が孕んで、広海の全身は妖しく波打った。
はぁはぁ……と息を喘がせ、全身に汗と蜜を滴らせ、悦楽の余韻に浸る。
そのまましばらく無力でいたが、尻に埋められた楔が、硬度を保ったままであることに意識が向いた。許しを請うように見つめると、
「もぉ抜いて……んぁッ!」
とろとろと蜜をこぼす性器を、そっと握られた。
「……もっかい、シよ?」
美しい捕喰者が囁く。そんな。広海は力なく頸を振った。
「ぁ……無理だよ、も……ぅん……っ」
じゅぷっ……ぬぷっ……水音をたたせながら、上に下に扱かれ、揺さぶられ、熱の冷めやらぬ金緑の双眸に痴態を見られながら、殆ど透明の滾る精を涙のように散らした。