DAWN FANTASY

3章:囁きと庇護者 - 9 -

 掌が頸をすべるようにおりていき、鎖骨をなぞり……横へ流れる双乳を包みこんだ。期待と恐れ、隷属したいという無意識の感情から、躰がさざなみのように震える。親指の腹で乳首をさすられると、腿のつけねがさらに濡れるのが判った。
「ん……っ」
 肉づきのいい丸顔に薔薇色の頬をして、脚をすりあわせる七海の顔を、ランティスは吐息が触れるほど近くから覗きこんだ。
 食べられる――そう思った次の瞬間には頭を抱えられ、素早く唇が重ねられた。愛撫するよう何度かみ、冷たくて熱い舌が口腔に入ってくる。
「ん、ぅ……っ」
 舌を搦め捕られて、ついで強く吸われた。鋭い官能の矢がその舌から全身を貫いて、下腹部を刺激する。硬く熱く脈打つ下肢を押しつけられて、知らず七海は呻きを漏らしていた。
 頸に両腕を回して唇を吸い返せば、えもいわれぬ異国の甘く濃い美酒を煽ったように、脳髄がしびれる。或いは口移しに与えられた媚薬かもしれない。
 どうかこの火を鎮めて――燃え盛る焔を癒やしてと、七海はまわらぬ舌でせがむ。
 深いくちづけを交わしながら、彼は、片手で器用に七海の衣服を脱がせて、肌を露にしいていく。暖かな官能に浸されていた七海だが、脂肪のついた腹を撫でられると、羞恥に身悶えた。
「や、お腹は触らないで……っ」
「******……」
 涼やかで官能的な笑い声が耳に聴こえて、七海はきっとなる。
「だめっ」
 豊かな腹肉を揉みしだく腕をぺしぺし叩くと、ランティスは笑みを深めて、手を腰のしたへとすべらせた。下着に指がかかり、七海はびくっとなる。
「ぁ……」
 ランティスはもう笑っていなかった。どこか肉食獣めいた真剣な目をして、薄い布地を脱がしていく。足頸から下着を引き抜いて、はらりと寝台のしたへ落とした。
 怖い――おののく七海にのしかかり、大きな掌が内腿を撫であげ……長い指が、秘裂をそっと押し開いた。
「あっ!」
 秘所を触れられている衝撃に、七海は身悶えた。反射的に彼の二の腕に爪をたてるが、ランティスは花弁に指をしずめ、
濡れているテス セリトミア……」
 低く甘く囁いた。
 言葉の意味を悟り、七海の顔は燃えるように熱くなる。羞恥にぎゅっと目をつむった瞬間、蜜壺に指を突き入れられた。
「ぃ……っ」
 思わず腰が撥ねあがった。混乱のあまり逃れようとするが、動けない。恐る恐る目をあわせると、ランティスは食い入るように七海を見つめていた。
 その目に浮かぶ表情を見て、七海の心臓はどくりと脈打った。超俗した美貌に、獰猛さが、焔のような原始的な欲求が浮かんでいる。
 碧い瞳で七海の痴態を眺めおろしながら、指が、挿入はいってはでていく。
 二本の指が蜜壺のうえで密かにうずく突起に触れたとき、迸るような悦楽に貫かれた。
「あぁッ」
 秘裂から蜜が溢れでる。腿を閉じようとしたが、彼の腕ごと締めつけてしまい、繊細な指の動きのもたらす官能を万倍にも感じた。
「ぁっ、ん……待って、お願い……っ」
 挿入されるたびに悦びに貫かれて、動悸が激しくなる。額に珠の汗が浮かぶ。心臓が壊れそう――視界が潤みかけた時、ランティスは両手で七海の大腿を掴み、高く持ちあげた。
「やぁ!」
 あられもなく開かされた脚のつけ根に、ランティスは腰を押しつけてくる。屹立に花弁を撫でられ、興奮と快感が膨れあがった。
「七海、******……」
 圧倒的な熱塊が、なかを広げつつ、押し入ってくる。初めての挿入は、しとどに濡れていても痛みを伴った。
「うっ、くぅ……っ」
 痛みを伴う圧迫感に七海は呻き、尻であとずさりしようとした。実際はちっとも動けず、少しずつ、深く、突き刺さっていく。
「******……カヒームすみません*****」
 途中、ランティスは動きをとめると、七海の耳元で囁いた。声の響きに乞うような思い遣りが感じられて、七海は無意識に頷いた。
 彼は七海をしっかり抱きこみ、身動きを封じてから、一気に貫いた。
「うぁ゛ッ」
 壮絶な痛みだった。あまりの激痛に、脳が白く灼ける。
 息をあえがせる七海の顔に、ランティスはキスの雨を降らせた。
 優しく慰められるうちに、七海もどうにか痛みをやり過ごし、次第に呼吸は楽になった。七海の様子を見ながら、ランティスは慎重に、腰を遣い始めた。
 最初は痛みに呻いていた七海も、波間を揺蕩うような律動を繰り返されるうちに、少しずつ快感を拾い始めた。少しでも声に苦痛がにじめば、ランティスは動くのをやめて、指と唇で優しい愛撫を繰り返してくれる。
 はぁはぁと次第にあえぎの声も高くなり、甘く突かれながら、陰核を指に愛撫されると、経験したことのない悦楽に襲われた。
「あぁんっ」
 自分の声とは思えぬほど、甘い声が喉奥から迸る。顔を横に倒して唇をきつく噛みしめると、耳に吐息が触れた。孔に熱い舌が挿入はいってくる――淫靡な水音に鼓膜を犯されながら、躰の一番やわらかいところを突かれて、硬く尖った乳首を指に挟まれる。
「ぁ、はぁ……ッ」
 混乱と悦楽に翻弄されながら、これこそが欲していたものだという確信もあった。
 ――本当は、ずっと前から、こんな風に触れてほしいと思っていた。心の奥底では、愛されたいと懇願していたのだ。
 片方の膝に腕をさしいれられ、大きく開いた脚のあいだを突きあげられた。
「あぁっ!」
 凄まじい衝撃に、腰が跳ねあがる。逃げをうつ腰をランティスは引き戻し、さらに突きあげる。少し荒っぽいが、ひどく官能的で、七海の興奮はいや増した。
 躰の奥処おくかを熱塊が貫くたびに、視界に火花が散る。灼熱の肉棒が、上へ下へ、縦横無尽に七海を穿ち、肌のそちこちを掌がなであげ、舌と唇が這わされる。容赦のない愛撫に攻めたてられ、限界が近づいていた。
 揺さぶられながら、まるで自分が嵐に翻弄される小舟になった気がした。荒波に飲みこまれて、粉々になってしまう――臼挽きのようにぐるりと腰を回されると、悦楽が螺旋を描いた。
「あぁンッ! ……あ、あ、あぁッ……もぅ、ぁっ」
 恍惚。驚嘆。懇願。ランティスは震える七海の腰を両手で掴み、ぎりぎりまで引き抜いてから、一気に突きあげた。
「ひぁッ、あ!」
 快感の波が子宮めがけていっきに突き進み、眼裏まなうらが真っ白に燃えあがった。
 弓なりになった七海の、そそりたつふたつの乳首をきゅうっと指でつまれた瞬間、突き抜けるような恍惚に襲われた。
「あぁ――ッ~~……!」
 眼裏まなうらに艶麗な火花が散る。
 燃えてしまう――金色の焔に全身を飲みこまれながら、躰の深いところで熱い飛沫を感じた。
愛していますイト ラーア ジュ……」
 ……そう聞こえたのは、七海の願望なのかもしれない。けれども耳元で囁かれた声は、優しくて、蕩けそうなほど甘くて、愛の告白にしか聞こえなかった。