アッサラーム夜想曲
第2部:シャイターンの花嫁 - 30 -
バルコニーから戻り、アデイルバッハに挨拶を終えると、二人は早々に祝賀会を引き上げることにした。
会場を出ていく時、大勢に囲まれているアースレイヤと目が合った。上着を燃やされたことを申し訳なく思いながら、顔の前で拝み手をすると、彼は不思議そうな顔をしたあと、何もかも判っているように、気さくに手を挙げて応えてくれた。
人をからかう悪癖もあるようだが、気持ちのいい青年である。ジュリアスはそうは思わなかったようで、忌々しそうに氷の一瞥を向けていた。
なにはともあれ、お邸に戻ると、ナフィーサが笑顔で出迎えてくれた。
化粧を落として風呂に入り、さっぱりした気持ちで私室に戻ると、ジュリアスが窓辺の机上を静かに見下ろしていた。
「ふぅ……すっきりしたー、ジュリ? どうかした?」
傍に寄って、彼の視線を辿ると、机上にリビライラからもらった招待状と、ブランシェットからもらった押し花の栞が置いてあった。
そういえば、栞は客間に置き忘れていたのだが、ナフィーサが届けてくれたのだろう。
気まずい……どう説明しようか迷っていると、ジュリアスは招待状を手に取り、光希を見つめた。
「私から断りの返事をしても?」
「もう、ナフィーサが返事をしてしまったかも……」
「今から断れば同じことですよ」
「その……これが最後だから、いってもいい? もう公宮にはいかないって、自分の口でいいたい」
手にした栞に目を注ぎながらいうと、不服そうな顔で、ジュリアスはそれを上から取り上げた。
「これは、ブランシェット姫にもらったの?」
「うん……」
「彼女には、もう会わないといったでしょう?」
「……」
「コーキ?」
「……はい、いいました。ごめんなさい、もう会いません。いけないって急いで手紙を出します」
「ナフィーサに頼めばいいですよ。断りの返事なら尚更、代筆させるのが礼儀です」
「そうなんだ。判った、そうする」
まだ不満そうにしている顔を仰いでほほえむと、青い瞳に探るように見下ろされた。
「確かに、ブランシェット姫はかわいいと思うけど……僕の好きな人は、ジュリだから」
はっきりと告げると、青い双眸は戸惑ったように揺れた。招待状と栞を返されたので、引出にしまいながら、光希は笑顔で振り向いた。
「明日は、図書室で過ごします。サリヴァンに会ったら、またきてくださいって伝えて」
「ええ、必ず……」
ようやく、ジュリアスも笑顔になる。光希の手を引いて、窓辺の絨緞に並んで腰を下ろした。
蜜蝋を灯して、夜の憩い、穏やかな団欒を愉しむ。
すれ違う日々が続いていたので、ジュリアスの傍で、これほど心が凪いでいるのは久しぶりだ。そう感じているのは、彼も同じようで、他愛もない雑談はしばし続いた。
夜も更けて、寝室に入ると、ジュリアスは熱っぽく光希を見下ろした。甘い時間を期待して、光希も見つめ返す。
しかし、浮ついた気持ちは、夜着に手をかけられたところで萎んだ。
「――ちょっと、待って」
寝台に押し倒された体勢のまま、光希は横を向いた。身体中の体毛を、すっかり処理されたことを思い出したのだ。
「コーキ?」
「あの、やっぱり……」
股間まで、毛を刈られたのだ。裸を見られるのは、かなり恥ずかしい。
しかし、遠回しな拒絶を感じ取り、ジュリアスは不服そうな顔をした。拗ねたように光希を睨 めつける。
「焦らさないでください」
「ひゃぁッ」
首筋に顔を沈めて、舌で舐め上げられた。久しぶりに触れられたせいか、やけに感じてしまう。
「もう、我慢も限界です」
きっちり合わせた襟を、素早く乱され、抵抗する間もなく上半身を剥かれた。唇で肌に触れながら、ジュリアスは何度も跡を残すように吸いつく。
「あ、あぁ……ッ」
肌のあちこちを吸われながら、強く胸を揉みしだかれ、上向いた先端を、指先で弾かれた。
股間があらぬ反応をし始める。膝をすりあわせる光希に気づいて、ジュリアスは容赦なく、膝を割ってきた。
「待って、待って」
慌てて止めようとするが、敵わない。薄い下着を両手で隠すが、少々乱暴に手を弾かれ、あっけなく最後の砦を奪われた。
「……ッ!」
むき出しの下肢に、視線が落ちる。その様子を直視できず、光希は顔を倒した。
「見ないでッ」
身体を捻ろうとしたが、強靭な肉体で下肢を押さえつけられた。
「……とても、刺激的な姿ですね」
「あっ!?」
急に膝裏を持ち上げられて、子供がひっくり返ったような恰好をさせられた。
緩やかに反応している性器に、息をふきかけられる。情けない声が喉から零れた。甘い刺激に、腰が撥ねてしまう。
「わ、わ、だめッ」
あろうことか、端正な顔を、股間に埋めようとしている!
阻止しようと手を伸ばしたが、巧みに躱して、ジュリアスは強く光希を吸い上げた。
「あぁッ!!」
熱い口内で扱かれて、中心が、むくむくと勃ち上がっていく。強烈な快感に、抵抗する力は抜け落ちた。
「んぅ、やだ、強い……」
淫靡な水音を立てながら、いつもより激しく吸引される。喉奥まで咥えられて、気を抜けば放出してしまいそうだ。
口淫を続けながら、感触を楽しむように、無毛の陰嚢をやわやわと揉みしだかれる。長い指は、尻の隘路をなぞり、ひくつく後孔を押しこんだ。
「んッ、待って、離して」
熱い口腔で亀頭の形が変わるほど、舌で舐 られる。何も考えられないほど、気持ちいい……ッ!
爆発する寸前を心得たように、ジュリアスは絶妙なタイミングで口を離すと、今度は、陰嚢をしゃぶり立てた。
信じられないほど淫靡な水音に、鼓膜を犯される。
腹を打つほど反り返った中心を、つと指でなぞりながら、彼は後孔に舌を潜らせた。
「も、やめ……ッ」
下半身が、ぐずぐずに溶けていく……
抉るように舌を挿し入れられ、身体の内側を舐められる。舌で前後に揺すられる度に、性器が撥ねて、透明な飛沫を散らした。
「だめぇ……ッ」
腰を引かせようと暴れても、即時に身体を寝台の中心に戻されてしまう。
舌で犯され、放出の限界を迎えた時、光希は全身に力を入れてどうにか堪えた。
「気持ち良かった? コーキは、かわいいな……」
陶然とした声に、うっすら瞳を開けると、ジュリアスに見下ろされていた。いっぱいいっぱいの光希を眺めて、満足そうにほほえんでいる。
青い瞳に、蕩けきった光希の顔が映っている。視界を手で塞ごうとしたら、あっけなく寝台に縫い留められた。
「あ、あんッ」
空いた胸に、端正な顔を沈めると、ぷっくりとした乳首を、思いきり吸われた。
「掌に、吸いつくみたい……ふわふわしていて、貴方の身体はどこもかしこも甘い」
胸に舌を這わせながら、陶然とジュリアスが呟く。
羞恥から逃げるように、自由になった手で頭を抱え込むと、形の良い唇に乳首を挟まれた。
「んぁッ」
彼の邪魔をしようとしても、あっけなく躱されてしまう。あらゆるところに、口づけが落とされる。
欲に濡れた顔を直視できず、視線を逸らすと、太腿の内側を吸われて、思いきり身体が撥ねた。
天鵞絨 のような唇で、光希の身体中に触れていく。足の指先にまで舌をはわされ、情けない悲鳴を上げた。
「そんなとこ、舐めないで……」
青く燃える瞳と視線が絡み、光希は肩をすくめた。熱に浮かされたような執着がふと怖くなり、腰を引き気味にすると、勃ち上がった性器を鷲掴まれた。
「――ッ!?」
絶句する光希の身体を一瞬で組み敷き、ジュリアスは唇を奪った。強く舌を吸いあげ、唇を揉みしだくように食む。
「んぅむ、ん、ん……ッ!」
淫らなキスは永く続き、理性は急速に溶けていった。
高められた身体が疼いて、放熱の欲求を強く訴えてくる。無意識に腰を揺らすと、ジュリアスは蠱惑的な笑みを浮かべた。
「挿れるよ」
目を見つめたまま囁くと、屹立を宛がい、一気に貫いた。
「あ――ッ」
身体がおかしいくらいに撥ねて、反り返った性器が、ばちん、と腹を打った。
「気持ちいい?」
「あ、う」
唇を戦慄 かせる光希を見下ろして、ジュリアスは甘くほほえんだ。鼻の頭を、ちょんと指で突く。
勃ち上がった自分のものに手を伸ばそうとすると、咎めるように、寝台に押さえつけられた。
「や……」
「中だけで、良くなれるでしょう?」
腰を甘く揺すられて、身体中が痺れた。頭の中が真っ白になり、今度こそ放出の限界だと思った。
口内に挿し入れられた親指に、無意識で舌を絡ませる光希を、ジュリアスは食い入るように見つめている……
「――ッ」
揺さぶられるうちに、いつの間にか、腹の間が濡れていた。最奥も、熱い飛沫で濡らされている。
放熱に達しても、ジュリアスは律動をやめなかった。
激しい抽挿の合間に、ぐちゅんと泡立つ淫靡な音が、寝室に満ちる。
もだえる光希を組み敷いたまま、肌のあちこちに吸いつき、舐めて、貪るように抱き続けた。
会場を出ていく時、大勢に囲まれているアースレイヤと目が合った。上着を燃やされたことを申し訳なく思いながら、顔の前で拝み手をすると、彼は不思議そうな顔をしたあと、何もかも判っているように、気さくに手を挙げて応えてくれた。
人をからかう悪癖もあるようだが、気持ちのいい青年である。ジュリアスはそうは思わなかったようで、忌々しそうに氷の一瞥を向けていた。
なにはともあれ、お邸に戻ると、ナフィーサが笑顔で出迎えてくれた。
化粧を落として風呂に入り、さっぱりした気持ちで私室に戻ると、ジュリアスが窓辺の机上を静かに見下ろしていた。
「ふぅ……すっきりしたー、ジュリ? どうかした?」
傍に寄って、彼の視線を辿ると、机上にリビライラからもらった招待状と、ブランシェットからもらった押し花の栞が置いてあった。
そういえば、栞は客間に置き忘れていたのだが、ナフィーサが届けてくれたのだろう。
気まずい……どう説明しようか迷っていると、ジュリアスは招待状を手に取り、光希を見つめた。
「私から断りの返事をしても?」
「もう、ナフィーサが返事をしてしまったかも……」
「今から断れば同じことですよ」
「その……これが最後だから、いってもいい? もう公宮にはいかないって、自分の口でいいたい」
手にした栞に目を注ぎながらいうと、不服そうな顔で、ジュリアスはそれを上から取り上げた。
「これは、ブランシェット姫にもらったの?」
「うん……」
「彼女には、もう会わないといったでしょう?」
「……」
「コーキ?」
「……はい、いいました。ごめんなさい、もう会いません。いけないって急いで手紙を出します」
「ナフィーサに頼めばいいですよ。断りの返事なら尚更、代筆させるのが礼儀です」
「そうなんだ。判った、そうする」
まだ不満そうにしている顔を仰いでほほえむと、青い瞳に探るように見下ろされた。
「確かに、ブランシェット姫はかわいいと思うけど……僕の好きな人は、ジュリだから」
はっきりと告げると、青い双眸は戸惑ったように揺れた。招待状と栞を返されたので、引出にしまいながら、光希は笑顔で振り向いた。
「明日は、図書室で過ごします。サリヴァンに会ったら、またきてくださいって伝えて」
「ええ、必ず……」
ようやく、ジュリアスも笑顔になる。光希の手を引いて、窓辺の絨緞に並んで腰を下ろした。
蜜蝋を灯して、夜の憩い、穏やかな団欒を愉しむ。
すれ違う日々が続いていたので、ジュリアスの傍で、これほど心が凪いでいるのは久しぶりだ。そう感じているのは、彼も同じようで、他愛もない雑談はしばし続いた。
夜も更けて、寝室に入ると、ジュリアスは熱っぽく光希を見下ろした。甘い時間を期待して、光希も見つめ返す。
しかし、浮ついた気持ちは、夜着に手をかけられたところで萎んだ。
「――ちょっと、待って」
寝台に押し倒された体勢のまま、光希は横を向いた。身体中の体毛を、すっかり処理されたことを思い出したのだ。
「コーキ?」
「あの、やっぱり……」
股間まで、毛を刈られたのだ。裸を見られるのは、かなり恥ずかしい。
しかし、遠回しな拒絶を感じ取り、ジュリアスは不服そうな顔をした。拗ねたように光希を
「焦らさないでください」
「ひゃぁッ」
首筋に顔を沈めて、舌で舐め上げられた。久しぶりに触れられたせいか、やけに感じてしまう。
「もう、我慢も限界です」
きっちり合わせた襟を、素早く乱され、抵抗する間もなく上半身を剥かれた。唇で肌に触れながら、ジュリアスは何度も跡を残すように吸いつく。
「あ、あぁ……ッ」
肌のあちこちを吸われながら、強く胸を揉みしだかれ、上向いた先端を、指先で弾かれた。
股間があらぬ反応をし始める。膝をすりあわせる光希に気づいて、ジュリアスは容赦なく、膝を割ってきた。
「待って、待って」
慌てて止めようとするが、敵わない。薄い下着を両手で隠すが、少々乱暴に手を弾かれ、あっけなく最後の砦を奪われた。
「……ッ!」
むき出しの下肢に、視線が落ちる。その様子を直視できず、光希は顔を倒した。
「見ないでッ」
身体を捻ろうとしたが、強靭な肉体で下肢を押さえつけられた。
「……とても、刺激的な姿ですね」
「あっ!?」
急に膝裏を持ち上げられて、子供がひっくり返ったような恰好をさせられた。
緩やかに反応している性器に、息をふきかけられる。情けない声が喉から零れた。甘い刺激に、腰が撥ねてしまう。
「わ、わ、だめッ」
あろうことか、端正な顔を、股間に埋めようとしている!
阻止しようと手を伸ばしたが、巧みに躱して、ジュリアスは強く光希を吸い上げた。
「あぁッ!!」
熱い口内で扱かれて、中心が、むくむくと勃ち上がっていく。強烈な快感に、抵抗する力は抜け落ちた。
「んぅ、やだ、強い……」
淫靡な水音を立てながら、いつもより激しく吸引される。喉奥まで咥えられて、気を抜けば放出してしまいそうだ。
口淫を続けながら、感触を楽しむように、無毛の陰嚢をやわやわと揉みしだかれる。長い指は、尻の隘路をなぞり、ひくつく後孔を押しこんだ。
「んッ、待って、離して」
熱い口腔で亀頭の形が変わるほど、舌で
爆発する寸前を心得たように、ジュリアスは絶妙なタイミングで口を離すと、今度は、陰嚢をしゃぶり立てた。
信じられないほど淫靡な水音に、鼓膜を犯される。
腹を打つほど反り返った中心を、つと指でなぞりながら、彼は後孔に舌を潜らせた。
「も、やめ……ッ」
下半身が、ぐずぐずに溶けていく……
抉るように舌を挿し入れられ、身体の内側を舐められる。舌で前後に揺すられる度に、性器が撥ねて、透明な飛沫を散らした。
「だめぇ……ッ」
腰を引かせようと暴れても、即時に身体を寝台の中心に戻されてしまう。
舌で犯され、放出の限界を迎えた時、光希は全身に力を入れてどうにか堪えた。
「気持ち良かった? コーキは、かわいいな……」
陶然とした声に、うっすら瞳を開けると、ジュリアスに見下ろされていた。いっぱいいっぱいの光希を眺めて、満足そうにほほえんでいる。
青い瞳に、蕩けきった光希の顔が映っている。視界を手で塞ごうとしたら、あっけなく寝台に縫い留められた。
「あ、あんッ」
空いた胸に、端正な顔を沈めると、ぷっくりとした乳首を、思いきり吸われた。
「掌に、吸いつくみたい……ふわふわしていて、貴方の身体はどこもかしこも甘い」
胸に舌を這わせながら、陶然とジュリアスが呟く。
羞恥から逃げるように、自由になった手で頭を抱え込むと、形の良い唇に乳首を挟まれた。
「んぁッ」
彼の邪魔をしようとしても、あっけなく躱されてしまう。あらゆるところに、口づけが落とされる。
欲に濡れた顔を直視できず、視線を逸らすと、太腿の内側を吸われて、思いきり身体が撥ねた。
「そんなとこ、舐めないで……」
青く燃える瞳と視線が絡み、光希は肩をすくめた。熱に浮かされたような執着がふと怖くなり、腰を引き気味にすると、勃ち上がった性器を鷲掴まれた。
「――ッ!?」
絶句する光希の身体を一瞬で組み敷き、ジュリアスは唇を奪った。強く舌を吸いあげ、唇を揉みしだくように食む。
「んぅむ、ん、ん……ッ!」
淫らなキスは永く続き、理性は急速に溶けていった。
高められた身体が疼いて、放熱の欲求を強く訴えてくる。無意識に腰を揺らすと、ジュリアスは蠱惑的な笑みを浮かべた。
「挿れるよ」
目を見つめたまま囁くと、屹立を宛がい、一気に貫いた。
「あ――ッ」
身体がおかしいくらいに撥ねて、反り返った性器が、ばちん、と腹を打った。
「気持ちいい?」
「あ、う」
唇を
勃ち上がった自分のものに手を伸ばそうとすると、咎めるように、寝台に押さえつけられた。
「や……」
「中だけで、良くなれるでしょう?」
腰を甘く揺すられて、身体中が痺れた。頭の中が真っ白になり、今度こそ放出の限界だと思った。
口内に挿し入れられた親指に、無意識で舌を絡ませる光希を、ジュリアスは食い入るように見つめている……
「――ッ」
揺さぶられるうちに、いつの間にか、腹の間が濡れていた。最奥も、熱い飛沫で濡らされている。
放熱に達しても、ジュリアスは律動をやめなかった。
激しい抽挿の合間に、ぐちゅんと泡立つ淫靡な音が、寝室に満ちる。
もだえる光希を組み敷いたまま、肌のあちこちに吸いつき、舐めて、貪るように抱き続けた。