ジュリアスが寝台に近づいてくる。
 咄嗟に羅紗らしゃの薄布を掴むと、腰に巻いて上体を起こした。

「お帰り」

 引きつった笑顔の光希を見るなり、ジュリアスは息を呑んでその場で足を止めた。

「コーキ……」

『あ、あはは……ごめん、驚くよな。俺にも何が何だか』

 こんな恰好、見られたくなかった。
 耐えられぬ羞恥に襲われて、視界が潤みかけた。俯いて顔を隠すと、呪縛から解かれたようにジュリアスが駆け寄ってきた。頬を両手で包まれ、上向かされる。
 熱を孕んだ青い瞳に至近距離で射抜かれて、顔が燃えるように熱くなった。

『あの、見ないで……』

 言葉は中途半端に途切れた。
 両頬を固定されたまま、強く唇を押しつけられた。いきなり熱い舌をねじ込まれて、吐息すら奪うように貪られる。激情に駆られた、情熱的な口づけ――
 どうにか顔を背けると、露わになった耳朶を唇で食まれ、舌でねぶられた。

「は……っ、ぁ……」

 力の入らない腕でジュリアスを押しのけようとすると、胸に当てた手を取られて、逆に引き寄せられた。青い双眸で光希を捕えながら、見せつけるように指先に舌を這わせる。

「あ……」

 形の良い唇から、赤い舌がちろりと覗く。情事を連想させるように、一本ずつ指をしゃぶられた。
 官能を呼び起こされて、身体の芯がずくんとうずく。
 照明の落とされた室内でも、青い瞳は仄かに輝いて見える。欲に濡れた眼差しが、光希を求める想いの強さを伝えてくる。肉欲だけではない、焦がれるような恋情――どうしようもないほど、好きだという気持ちまで。
 こんなに強く、誰かに想われたことなんてない。感情が昂って、はらはらと涙となって零れた。
 ジュリアスは小さく息を呑むと、瞳に唇を寄せて、優しく涙を吸いあげた。

「私の*****、ロザイン。****……好きです」

「僕も、好き……っ、あ……っ」

 消え入りそうな声で囁くと、ジュリアスは光希の裸の胸に指を滑らせた。軽く触れられただけなのに、やけに敏感に反応してしまう。
 逃げるように腰を引くと、攫うように背中に腕を回された。身じろいだせいで、腰に巻いた薄布がはらりとめくれ、ジュリアスの視線が吸い寄せられるように落ちた。
 光希も視線を落として、絶句した。
 勃ち上がった性器が、繊細な紗の前垂れを押し上げていた。先走りが薄布に染みを作り、肌色が透けて見える。信じられないほど卑猥な光景だった。
 考えるよりも先に身体が動いた。くるりと反転して四つん這いで逃げようしたが、上からジュリアスが覆いかぶさり、四肢を搦め捕られた。

「……ひっ!」

 うなじに強く吸いつかれた。肩や背中に、熱い唇が欲望を押しつけるように何度も落とされる。

『よせよ、やだ! 離して』

 唇は背中を下りていき、尻の膨らみに辿りついた。熱い掌に尻臀しりたぶを揉みしだかれ、濡れた舌で舐められ、音を立てて吸いつかれた。

「あ、あ……っ、んぅっ……!」

 聞いたこともない、甘い声が喉の奥から溢れ出た。恥ずかしくて、泣きながら一生懸命口を押さえたが、どうしても止められない。

『や、やめっ……!』

 ジュリアスは柔らかな尻臀を吸いながら、割れ目に沿う硝子玉の連なりを、くんっと引いた。

「んぅ……っ!」

 腰に甘い衝撃が走り、危うく気をやりそうになった。
 このままではどうにかなってしまう――
 逃げたいのに、押さえつけられて逃げられない。力の入らない腕で弱々しく敷布を掻くばかり。

「はぁっ……コーキ、*****……」

 掠れた声で名を呼ばれて、ずくんっと腰が甘く痺れた。悲鳴が出そうになり、固く握った拳に歯を当てて必死に堪える。
 尻のあわいに沿う紐をずらされ、尻孔が空気に触れたと思ったら、熱い吐息と共にぬるりとしたものが触れた。

「ジュリ――ッ!?」

 舐められている。必死に逃げようと尻を振るが、ジュリアスは腰を抱え込み、綺麗な顔を尻に埋めて上下に揺らし始めた。皺の一つ一つを伸ばすように舌を這わせ、音を立てて何度も吸いつく。

『やだっ! やっ、やめろ! 舐めるな……っ!』

 ぴちゃぴちゃと卑猥な音が、自分の尻から聴こえてくる。
 腰を揺らす度に屹立が布にこすれて、ってしまいそうだ。逃げようとする光希を叱るように、ジュリアスはいっそう音を当てて、熱い舌で柔い尻穴を穿うがった。