アッサラーム夜想曲

『栄光の紋章』 - ジュリアス -





 ― 『栄光の紋章・七』 ― ジュリアス




 真珠のように艶めいた肌を見下ろし、身体を滾らせる征服欲のままに、顔を下げた。

「愛している……光希は?」

 耳朶に囁くと、光希は無言で顔を背けた。頬は固く引き締まり、愛情の欠片も見いだせない。

「私だけの光希だと、いつかの夜に、囁いてくれましたね。あの心は、今も変わらない……?」

「……」

「光希」

「言いたくない、今は」

 冷たい拒絶に、慈しむ心は砕け散った。
 凶暴な感情に任せて、噛みつくように口づける。柔らかな唇を塞いで、思うがままに揉みしだき、甘い舌を吸い上げた。

「や、めッ」

 柔らかな肌に手を滑らせ、胸の尖りを指先に捉えた。角度を変えて口づける合間に、こごる乳首を指先で愛する。

「ジュリ!」

 唇を離して、顎の先に口づけ、首すじから鎖骨までの、なだらかな線を唇で吸いながら辿っていく。

「離してッ」

 反論を無視して、色づく乳首を強く吸い上げた。
 背中をしならせる身体を押さえ付け、音を立て、ことのほかいやらしく舐めあげる。

「あ、ぁ……っ」

 声を上げまいと身体を強張らせているが、腰骨の内側に手を滑らせるだけで、甘い声を上げた。 
 息すら止めようとする光希と違い、ジュリアスは早くも昂りを感じていた。呼気が乱れている自覚がある。
 ふいに手を休めると、こちらの様子をうかがうような、弱々しい眼差しがジュリアスを捕らえた。

「――……」

 潤んだ黒い瞳を見た瞬間に、体温は更に上がった。布越しに彼の中心に手を伸ばせば、びくりと身体を撥ねさせ、反射的に小さく丸まろうとする。

「駄目!」

 構わず下履きに手を掛けると、光希はジュリアスの下腹を押し上げようとした。
 たわいもない拒絶など、あっけないほど簡単に封じ込められる。逃げようとする腰を引き戻し、容赦なく服を脱がせた。

「う、やだって!」

「抱きたい」

「ジュリ……」

 頼りなげな声に呼ばれて、胸に痛みが走ったが、やめるつもりはない。裸にした光希を組み敷き、両腕を押さえて開いた胸に舌を這わせた。

「ん、んぅ……っ」

 本気で抵抗をしていても、素直な身体は、ジュリアスの与える刺激を快感に捉える。その証拠に、潤んだ声は紛れもなく艶めいている。

「光希……」

 緩く勃ち上った中心を柔らかく握りしめると、眉根を寄せた光希は力なくジュリアスを見上げた。

「やめて」

 拒絶を呑み込むように、唇を重ねる。顔を振って唇を外そうとするので、わざと下唇を吸い上げた。

「ジュ……」

 閉じた光希の脚の間に、ジュリアスは下腹部を押しつけた。猛った塊を布越しに感じて、光希は慄いたように首を左右に振る。

「したくない」

「……感じているくせに。私ばかり責めるのは、卑怯ではありませんか?」

「――ッ!」

 光希は忌々しそうに唸ると、手を振り上げた。いくらでも避けれたが、そうはしなかった。
 渇いた音と共に、頬に熱が走る。
 怒りに燃えた黒い瞳で、上目遣いにジュリアスをめつけてみせる。そんな眼で見ても、こちらを昂らせるだけだ。




『栄光の紋章』 - ジュリアス -


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