アッサラーム夜想曲
第1部:あなたは私の運命 - 36 -
挿絵の宝石を指さして、これは? と訊ねると、サリヴァンは自分の額の宝石を指しながら、もう片方の手で挿絵の赤子を指した。
「シャイターンも、私も、この赤子のように額に宝石を持って***ました。宝石持ちと呼ばれ、*********。******を持っています」
「宝石……」
「そうです。***シャイターンは*********、*********。美しく、強く、***彼***、アッサラーム・ヘキサ・シャイターンを導く********です」
知らない単語が多いが、どうやらジュリアスを讃えているようなので、光希は何度も頷いた。
「彼は**********、貴方というロザインを*****、*********」
「ロザイン?」
よく耳にする言葉だ。光希を指しているようだが、一体どういう意味なのだろう?
サリヴァンはまた別の絵を開いた。
額に宝石を持つ人の肖像画だ。皆一様に麗しい容貌をしており、男性だったり、女性だったりと性別も年齢もばらばらである。
額の宝石は濃淡の差はあれ、青や紫系統の色をしている。
そういえば、サリヴァンの額の宝石も、アクアマリンのような薄い水色だ。ジュリアスは神秘的なブルームーンストーンの青色をしている。
「**、私やシャイターンと***額に宝石を持って生まれた、*******子供なのです」
「……あ!」
いわんとすることが判った。ジュリアスもサリヴァンも、この人達も皆、額に宝石を持って生まれた、そういいたいのか……!
光希は瞳に理解の色を灯して、勢いよく顔を上げた。サリヴァンは満足そうに頷いている。
「ロザイン、***は*****」
彼は穏やかにほほえんだ。どうやら、好意的な言葉をかけてくれたようだ。
「さて、これを見てください。彼等のロザインです。人****、宝石や*****、******、*********です」
「彼等の、ロザイン……」
サリヴァンの示した挿絵には、額に宝石を持つ人物画の下に、女性、男性の顔、指輪、杖……人であったり物であったりと、様々なものが描かれていた。
額に宝石を持つ人物との関連性が判らず、光希は不思議そうに首を捻った。
顔に疑問符を浮かべる光希を見て、サリヴァンは突然、白紙の羊皮紙に鉛筆を走らせ始めた。
彼には、絵の心得があるらしい。
もの凄い速さでジュリアスの顔を描いている。まるで本人を前にしているような、正確なデッサンだ。
「サリヴァン、すごい!」
手を叩いて褒めると、サリヴァンは穏やかにほほえんだ。
あっという間にジュリアスを描き上げたと思ったら、今度は違う人物のデッサンを始めた。
「え、僕?」
サリヴァンはジュリアスのデッサンの下に、光希を描き終えると、光希を指してロザインと口にした。
「……」
それから、資料に描かれた人物を指しては、その下に描かれた人や物を指してロザインと口にした。
光希は、ジュリアスのロザインといいたいらしい……
どういう意味なのだろう。ジュリアスとの関係を表す言葉だろうか。家族や恋人……?
ジュリアスにとってのロザイン……光希は、寝食を共にする近しい仲だ。なら、この資料に掲載されている人達にとっても、ロザインである人物や物に対して、特別な関係や意味があるのだろう。
もしかしたら、ロザインとは財産や資産を意味するのかもしれない。
『うーん……』
光希が首を捻って悩み始めると、気にしなくていいよ、というようにサリヴァンは光希の肩をぽんぽんと叩いた。
「大丈夫、******。*******。貴方はシャイターンのロザインで、****アッサラーム・ヘキサ・シャイターン**軍の******」
サリヴァンは穏やかな口調で話しかけると、昨日見せてくれた階級制の図解を本立てに広げた。
そこには様々な衣装をまとった人物が描かれており、頂点には王冠を戴いている王様が君臨している。王様の一つ下の階層には、額に宝石を持つ人物が描かれており、昨日サリヴァンは彼を指してジュリアスだと説明した。
「*******、***シャイターン」
サリヴァンは昨日話した通り、額に宝石を持つ人物を指して、シャイターン、と告げると、次に先ほど描いた光希のデッサンを手に取り、額に宝石を持つ人物の横に並べて見せた。
「ロザイン、貴方はシャイターン**********」
「僕……?」
まるで、光希の身分がジュリアスに匹敵するような口ぶりだ。
「はい、貴方の**は、シャイターンと***です」
「……」
王様の次がジュリアスで、光希はジュリアスと同じ地位だといいたいのだろうか?
「シャイターンも、私も、この赤子のように額に宝石を持って***ました。宝石持ちと呼ばれ、*********。******を持っています」
「宝石……」
「そうです。***シャイターンは*********、*********。美しく、強く、***彼***、アッサラーム・ヘキサ・シャイターンを導く********です」
知らない単語が多いが、どうやらジュリアスを讃えているようなので、光希は何度も頷いた。
「彼は**********、貴方というロザインを*****、*********」
「ロザイン?」
よく耳にする言葉だ。光希を指しているようだが、一体どういう意味なのだろう?
サリヴァンはまた別の絵を開いた。
額に宝石を持つ人の肖像画だ。皆一様に麗しい容貌をしており、男性だったり、女性だったりと性別も年齢もばらばらである。
額の宝石は濃淡の差はあれ、青や紫系統の色をしている。
そういえば、サリヴァンの額の宝石も、アクアマリンのような薄い水色だ。ジュリアスは神秘的なブルームーンストーンの青色をしている。
「**、私やシャイターンと***額に宝石を持って生まれた、*******子供なのです」
「……あ!」
いわんとすることが判った。ジュリアスもサリヴァンも、この人達も皆、額に宝石を持って生まれた、そういいたいのか……!
光希は瞳に理解の色を灯して、勢いよく顔を上げた。サリヴァンは満足そうに頷いている。
「ロザイン、***は*****」
彼は穏やかにほほえんだ。どうやら、好意的な言葉をかけてくれたようだ。
「さて、これを見てください。彼等のロザインです。人****、宝石や*****、******、*********です」
「彼等の、ロザイン……」
サリヴァンの示した挿絵には、額に宝石を持つ人物画の下に、女性、男性の顔、指輪、杖……人であったり物であったりと、様々なものが描かれていた。
額に宝石を持つ人物との関連性が判らず、光希は不思議そうに首を捻った。
顔に疑問符を浮かべる光希を見て、サリヴァンは突然、白紙の羊皮紙に鉛筆を走らせ始めた。
彼には、絵の心得があるらしい。
もの凄い速さでジュリアスの顔を描いている。まるで本人を前にしているような、正確なデッサンだ。
「サリヴァン、すごい!」
手を叩いて褒めると、サリヴァンは穏やかにほほえんだ。
あっという間にジュリアスを描き上げたと思ったら、今度は違う人物のデッサンを始めた。
「え、僕?」
サリヴァンはジュリアスのデッサンの下に、光希を描き終えると、光希を指してロザインと口にした。
「……」
それから、資料に描かれた人物を指しては、その下に描かれた人や物を指してロザインと口にした。
光希は、ジュリアスのロザインといいたいらしい……
どういう意味なのだろう。ジュリアスとの関係を表す言葉だろうか。家族や恋人……?
ジュリアスにとってのロザイン……光希は、寝食を共にする近しい仲だ。なら、この資料に掲載されている人達にとっても、ロザインである人物や物に対して、特別な関係や意味があるのだろう。
もしかしたら、ロザインとは財産や資産を意味するのかもしれない。
『うーん……』
光希が首を捻って悩み始めると、気にしなくていいよ、というようにサリヴァンは光希の肩をぽんぽんと叩いた。
「大丈夫、******。*******。貴方はシャイターンのロザインで、****アッサラーム・ヘキサ・シャイターン**軍の******」
サリヴァンは穏やかな口調で話しかけると、昨日見せてくれた階級制の図解を本立てに広げた。
そこには様々な衣装をまとった人物が描かれており、頂点には王冠を戴いている王様が君臨している。王様の一つ下の階層には、額に宝石を持つ人物が描かれており、昨日サリヴァンは彼を指してジュリアスだと説明した。
「*******、***シャイターン」
サリヴァンは昨日話した通り、額に宝石を持つ人物を指して、シャイターン、と告げると、次に先ほど描いた光希のデッサンを手に取り、額に宝石を持つ人物の横に並べて見せた。
「ロザイン、貴方はシャイターン**********」
「僕……?」
まるで、光希の身分がジュリアスに匹敵するような口ぶりだ。
「はい、貴方の**は、シャイターンと***です」
「……」
王様の次がジュリアスで、光希はジュリアスと同じ地位だといいたいのだろうか?